第258話 ちのわ


 

 

 

 心療内科の順番待ちのあいだに、周辺のウォーキングに出かけたカヨさん、集落から離れた諏訪神社に、村の人らしい高齢女性が入って行く場面に遭遇しました。


 昼なお暗い杉の古木に囲まれた無住の境内の真ん中に、「茅の輪」らしきものが設えられてあって、女性はそこを何度もくぐっては祈りを捧げている様子です。


 ――でも、歳時記ではたしか「茅の輪」は夏の季語だったはずだけど……。


 不思議に思いながら、一心不乱を邪魔しないよう足早に通過したカヨさんです。

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