第238話 たごん


  

 

 土曜日のカフェは満席で、ひとつだけ空いていた隅の席に案内されたカヨさん。


 隣席は例によって(笑)白髪男性のふたり連れで、だれそれの葬儀にだれそれは香典をいくら包んだとかどうとか、一遍上人がお聞きになったら「念仏賦算に及ばず」と申し渡されるにちがいない下品げぼんの話を延々と聞かされ、やれやれでした。


 ちなみに、カヨさんは「わが往生は他言に及ばず」と遺言に記し、地元紙のお悔み欄に掲載などもってのほか、家族だけで静かに送ってほしいと告げてあります。

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