第87話 さらにげぼん



 

 

 一言の反論もなく、いともあっさりと過剰請求を引っ込められたカヨさん。

 やれよかったと安堵のときが過ぎると、いっそうの疑念が湧いてきました。

 

 ――わたしのこと、舐めていたんだね!


 まさに、そのことです。( `ー´)ノ


 実はこの夏、一度だけ、今回の案件を依頼した相手の事務所を、仲介業者に連れられて訪ねたことがあるのですが、両者の会話を静かに聞いていたカヨさんを、

 

 ――御しやすし。

 

 そう見くびったことは間違いなさそう。

 病気で痩せる前のカヨさんだったら、もっと迫力ある印象を残せたはずなのに。


 子どもの遣いじゃあるまいしミスを上乗せした見積をそのまま提示した仲介業者も含め、男たちの卑劣さ加減がいまさらながら口惜しくてならないカヨさんです。

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