北海道
六百二十七歩。
偽物の並木を抜けると、直ぐに開けた所に出た。何も無かったように朝日が燦々と輝いている。何かを貫けそうな程に先の尖った革靴に硬くなった雪が張り付いている。底に付いた雪は透明な氷になってしまっていて、土が滲んでいる。
今日は三十一月六十三日。中途半端な日だ。
友人との待ち合わせは札幌駅の改札前。この後は二人で鰙釣りにでも行こうかという話になっている。左手奥にギリギリ改札口が見える柱にもたれかかって、LINEを確認した。
「あと何分くらいだ?もう着いたぞ。」
「お前前泊だろ。しかも待ち合わせはあと二十二分七秒後だ。急かすにはまだまだ早いぜ。」
「どの電車に乗ってくるんだ?」
「マゼランと同じ航路で向かってるさ。」
「そりゃあ結構な事だ。」
約束まであと六十二分三十三秒。
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