第31話 もったいないと思うもの

小説を書く人は最近では珍しくもないので、「小説を書けるだけで凄い」…なんてことは無くなりつつあると思います。

が、ある程度の分量のものを10作20作を作って、新人賞に受賞までは至らなくても一定の成績を残してる人というのは凄いと思います。


ただ、受賞に至らなかった場合のそれらの扱いが、もったいないと思う事があります。


1つは、全部無料公開にしてしまう事です。もったいない。

商業的な意味での良い文章と構成かと言えば、おそらく趣味で書かれたもののよりも遙かに優れている事も多いでしょうから、とてももったいないのは間違いないでしょう。


もう1つは全部電子書籍で販売という場合で、

「タイトルとリンク(例えばアマゾン)」だけブログ等に載せておく

…といった場合です。これももったいない。

この場合、個人的には結構リンクを踏みにくいように思います。

と、いうのも、目の本があればその場で買えますが、販売サイトにまず行って、アカウント持っていなければ作って…という面倒があるので、どうしてもその面倒を嫌がる方向に感情が行きがちです。


そこで、個人的にもったいないと思うのは、賞に応募した時の「あらすじ」が多分あるはずなんですが、そういうものが一切なしにタイトルとリンクだけ載せているという場合です。

確かに、あまりに宣伝臭がむんむん漂う紹介文だったら、タイトルだけのほうがましと私も思います。しかし、賞応募用に書いた「あらすじ」は、そういう宣伝臭まみれの駄文ではなくて、中身をきっちり書いた「あらすじ」のはずです。オチや終盤の詳細等を除いたうえでタイトルと合わせて書かれているほうが良いのでは、と私は感じます。


よく見るのは、(落選作品に関して)無料公開でも有料公開でも、「あらすじ」が全くないか、出版社にはこの文章は送っていないだろうなというものです。

もっとも、無料公開の場合には「余計なあらすじはいらないからごく短く簡潔にしろ」と言っている人達がいるのでそれに従う人も多いのかもしれませんが、出版社に対してはそうしてないはずですね。

有料の場合には、出版社に送り付けたような形のものがあったほうがよいのではないかと思います。確かに、それで売れるかは責任は取れないのですが…。

それと、以前も触れましたが、仮に10作も20作もあるなら、その中で良いものの1つ2つを全文無料公開して、残りを販売するというのは1つの手ではないかと思います。

中途半端な序盤だけ公開して、残り読みたきゃ買え…という方もいらっしゃるんですけど、それは個人的にはかなり手出しにくいパターンです。

商業でも、序盤が特別面白いって、やっぱり少ないと思います。


では、商業の小説買う時は何が決め手になるか?

これは人によって当然違うかとは思いますが、例えば:

①ジャンル

②タイトル

③作家名【既に知っている場合】

④あらすじ

序盤や中盤の頁をささっと見る事はありますが、これはむしろジャンルを確かめるために調べてる場合が多いかもしれません。

尚、表紙絵というのは私は参考にせず、特に漫画系のイラストなどが表紙にある時は即刻弾くのが普通です。小説買う時は小説を読みたいので。漫画買う時は漫画読みたいし。

もちろん、ホラー系の小説の表紙の色彩が黒とか真っ赤とか、そこらへんのイメージくらいなら、「ここの棚はこれ系か」という参考の目印くらいにはします。だから、ジャンルを明確にするための表紙イラストなら、まだいいです。

知らない作家さんで、あらすじなしで、ジャンル不明、タイトルだけがある…という時、個人的にはその商業作品を購入する確率はかなり低いです。特定のジャンルを求めていて、中身ちょっと見たらどうもそれ系だと分かった時には買う事もありますが。

タイトルで意表を突いたり、敢えて中身が不明なものにするのももちろん1つの方法だと思いますが、そのタイトルだけでリンクが貼ってあっても少し買いにくいかもしれません。

商業作品によくついている「帯」は私は参考にしないです。買っても、邪魔なので即刻捨てます。下品で宣伝臭漂うキャッチコピーなど書かれていると、不快で買うのをやめる要素にもなります。


買う側としては、個人的にはジャンルとあらすじが欲しいですかね。

それと、最初から終わりまで作品をどのように構成する人なのか知っていれば、尚買いやすいとは思いますが…

そういった情報はなくて、タイトルだけであるとか、あるいは(〇〇賞×次通過)とだけ書いて販売しているパターンは、もったいない気がします。

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