鵺(ぬえ)の住む街【快盗広尾シリーズ】

筑紫榛名@9/8文学フリマ大阪

(一)

 私が『快盗広尾』として仕事を始めたきっかけは、宮田益美さんからの一本の電話だった。

 彼女はアートスタイルマガジンの編集者であった。以前私が企画した企画展についての取材を受けたことがあり、それ以来のお付き合いであった。

 その彼女が、「ある人と会って欲しい」というのであった。そのときは一度お断りしたものの、翌日再び電話があった。用件は「絵を探してもらいたい」というものであった。

 どういう事情なのかは不明なので、乗り気ではなかったが、とにかく会ってみることにした。


(続く)

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