忍び寄る危機④王都周辺の異常
「今日は皆に話あってもらいたい事があるんだけど」
「「「「何を?」」」」
「まずは今、この国で起ころうとしている事を知ってもらいたい。一部の人はもうしっているけどペルニエ領とロンメル領に向けて
「そんな無茶な……」
「無理だろ」
クラスメイトは否定的な意見が多い。
「それでも俺は行かないと行けないんだ」
「そうですわ! それは貴族の義務ですから」
リュシとマヌエーラは立ち上がりみんなに向かって叫んだ。
「私はクラス担任としてそれは見過ごせません。死ぬのがわかっているような場所に生徒を見送る事はできませんので反対です」
ナタリー先生が泣きそうな顔で反対してきた。
「多分先生が反対しても二人は行ってしまうと思います。そしてそれは二人と二度と会うことは出来なくなることでしょう。でも一つだけそれを回避する方法があります」
「トラーオ君、それはどうすれば?」
「先生の許可の元クラス全員で戦いに行くことです」
「「「「「ええええええ」」」」」
「ムリ、ムリ」
「死にたくない」
クラスメイトの顔はその一言でみんな青褪めて首を横に振っていた。
「トラーオ君、どういうこと?」
「もしも討伐に行くなら学校を数日間離れなければいけませんので学校にその許可を取らないといけないでしょう」
「それは学外授業で学園長の許可があれば何とかなりますが、やはり許可はできません」
「それは生徒が危険になるからですか?」
「もちろんそうです。生徒が安全に過ごせるようにする責任が私にはあります」
「じゃ皆が安全であれば問題ないですか?」
「それはそうだけど…… スタンピードで安全を確保するのは難しいでしょう。あとは本人の意思確認が……」
「そうですか…… みんな聞いてほしい。今回の討伐でみんな怖がるのは解るけど死ぬ事ないからね?」
「「「ん?」」」
「ヴァンサン商会から全員分の守護のブレスレットを借りる手筈をとっています。即死無効即時転送の魔法が付与されたものなので、万が一の時には避難所へ転送されますから死ぬことはありません。怪我くらいはしますが今回は聖女のカテリーナ様と勇者ペイロン様も同行しますので怪我も治りますし、強い魔物はペイロン様がどうにかしてくれます。ただ弱い魔物が大量に発生した場合にどうにかしないといけませんので我々でそれらを掃討していきたいと思います」
「絶対に安全なのね?」
「死ぬことはないと思います。その代わり1個壊れたら金貨100枚くらい吹っ飛びますけど……」
「「「金貨100枚?」」」
「あっ! 使ったからって請求とかされませんから安心してください」
「「「ホッ」」」
街が守れたら金貨100枚なんて高いものではないし、何より魔道具は自分で作っているからコストは全然かかっていない。
「ヴァンサン商会からは街を守ってくれるなら援助は惜しまないと言われてますから。そういう事でみんなも手伝ってもらえないか?」
「死んだりする心配ないなら…… でも命があっても傷が残るような怪我をしたら嫌だな」
「それも大丈夫です。何故ならエリクサーもちゃんと準備してあるから掠り傷も残らないよ」
「それなら安心して行けるかも」
「でも怪我したら、痛いのは間違いないからね。怪我をしないことが一番だよ」
「トラーオ君の話を聞く限り安全は確保されているようですね。それでは学園長には許可をもらってきますが、あくまでも希望者だけにしてくださいね」
「もちろんです。無理やりなんて連れて行きませんよ」
「今から許可をもらいに行きます。ここに残った方は私が授業を行いますので皆さんは良く考えて行くかどうかを判断してください。よろしいですね」
ナタリー先生はそう言って学園長の許可をもらいに教室を出ていった。
さあ、みんなの判断を確認しなければな。
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