女神のいたずらで若返った大賢者、異世界と行ったり来たり……
ぽてたん
プロローグ① 入学前の挨拶はしっかりしよう
今日は王城で来月より入学予定の魔法学園の先生達との顔合わせの日の予定になっており、謁見の間では先生方も緊張するだろうという陛下の配慮で中庭のバルコニーで話し合いがあるそうだ。
バルコニーへ1時間後に来るようにと王家執事長より俺の専属次女のリリアーヌへ連絡があった。トリアムの女性としては平均よりも高い160cm近い身長でメイド服をビシッと着こなしシャープなメガネをクイッと上げながら話すリリアーヌはこれこそメイドオブメイドと言われそうな雰囲気の女性だ。
「タイガ様、今日は公式の場ではありませんが、少し格式の高い服装がよろしいかと存じます」
「そのへんはリリアーヌに任せるよ、1時間後であれば40分後くらいに着替えればいいかな?」
「そうですね、バルコニーまでの時間を考えるとそのくらいで大丈夫でしょう」
「じゃそれまでは少し魔法陣の勉強をしておくよ」
「かしこまりました。お時間が来たらお呼びいたします」
ソファにちょこんと座りこの数年間を思い返す。
……5年前の35歳のときに会社を早期退職して、しばらくはゆっくり過ごそうと思っていた矢先にピンク大好き駄女神アルメエルに強制的に異世界のトリアムに魔王討伐をさせられるため飛ばされてしまった。
魔王討伐については魔王が人間の姿で言葉を話すようであれば忌避感もあったのだろうが、見た目が昔映画で見たエイリアンのような姿で言葉を話す事も無かったので全く躊躇することなく駄女神のアホみたいなチート能力を使い討伐することが出来た。その後は日本に戻れると女神からは聞いていたので、トリアムではタイガは魔王を討伐する際に相打ちで死んだ事にして日本へ戻る予定であった。しかし駄女神の怠慢で人間には戻ることはできずに子猫の姿で約3年間を日本で過ごす生活を送る事になってしまった。その間に魔法を改善して本来は戻れないはずのトリアムへ転移門を繋ぐ事に成功してトリアムと日本を行き来できるようになった。
ようやく人間に戻れるようにしてもらえたのだが、駄女神より人間の姿で生活するのはトリアムで生活をするか日本で生活をするかを選択しなければならなかった。ただし選んだ方の世界と別の世界との行き来は子猫の姿であれば行き来が可能だということなので、人間としてはトリアムで生活をして日本では子猫で過ごすことを決めた。理由としては日本での楽しみは読書や食事等の娯楽であって、仕事をしないと白い目で見られかねない日本よりも、生活水準が低いトリアムの方が新しい技術の導入など、自分が社会に貢献できるという達成感を得られるからであり、決してトリアムの方が女性にチヤホヤされるからではない……
……ハズ……
日本とトリアムの転移については今までは10日に1回という制約があったが、それも駄女神のアルメエルと交渉した結果1ヶ月に2往復までであれば、短期間での転移も可能になった。
2週間に1回週末だけ日本に帰って買い物等を楽しめる生活が送れるので、娯楽が少ないトリアムでも快適なスローライフが送れるはずだったが……
駄女神アルメエル、略称駄メルが最後にやりやがった……
若くしておくからねの言葉で18歳くらいを想像していたのだが、想像の斜め上をいく10歳くらいの体にされてしまった。見た目だけなら8歳くらいの背丈しかなかったがそこは10歳ということで押し通した。18歳くらいであればトリアムでも立派なニートでも問題なかったのだが、10歳であれば義務教育が課せられるようになっている為に何もせずにプラプラ遊んでいる訳にはいかない。必ずどこかの学校へ行かなければならない。しかもこの義務教育は自分が提案をして魔王討伐の報酬を義務教育の予算に充てて作らせた制度だったので、陛下からも「自分で作った制度は守らないとなぁ」と言われ学校に通う事が決定してしまった。実年齢38歳で小学校に再入学とかどんな罰ゲームだよ……
魔王討伐で一緒だった勇者ペイロンとかは腹を抱えて大笑いするし、ペイロンの婚約者でもある聖女カテリーナも完全に子供を相手にするような口調で「頑張ってね」と頭をポンポンしてくるし、こちらの世界ではクールなキャラを演じていたキャラが崩壊してしまった。
子供ではあるが、大賢者の魔力も魔法も使えるので学校で学ぶべき事はないが通わなければならないので、魔法学園の学長と担任には国王の方から全てを説明をしておこうという流れで今日の打ち合わせが決められた。
ソファでゆっくりしているとノックの音が聞こえた。
「タイガ様そろそろ準備のお時間でございます」
「もうそんな時間か…… そういえば学校ではタイガでは無く本名の
「かしこまりました。トラ様ですね?」
「ちょっと待って……」
トラにすると来年は下級生からトラさんと呼ばれるのか…… なんかフーテンのトラさんみたいで嫌だな……
でも日本に帰るとみんなトラちゃんって呼ぶし、トラーオ、タイーガ、コグーネ、どれもピンとこないが……
「うーん、トラーオを登録名にして呼び方はトラでも良いようにするか」
「かしこまりました。ではトラーオ様とお呼びします。ではトラーオ様どちらのドレスがよろしいですか?」
「はぁ? なんでドレスなんだよ!」
「そのお顔立ちだと、ドレスがとってもお似合いなんですが……」
「いやいや、おかしいでしょ? 正式ではないにしろ陛下の前にドレスなんて着て出れるわけ無いでしょ? さっさと魔道士服を持ってきて」
「チッ…… 仕方ありませんね、ではこちらを」
「今舌打ちしたよね?」
「そんな事はありません。ドレスは夜の湯浴みが終わったら着替えていただきましょう」
「絶対に着ないからね?」
念を押して魔道士服に着替えてバルコニーに向かった。
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https://kakuyomu.jp/works/1177354054906409200
異世界帰りの賢者ですが、何故か猫に!にゃんでなにゃー
上の話の後日談になっております。
1部を読まなくても楽しめるように作って行く予定ですが、上の作品も読んでいただけると嬉しいです。
少し忙しくなってきましたので、週1更新できればと思っております。
よろしくお願いします。
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