翼よ、あれがパリの灯りだ
三重野 創(みえのつくる)
第1話 失われた星を求めて
ひどくうなされていたようだ。
死なないカラダというのも、これはこれでいいことばかりではない。
友と呼べる人は、誰もいなくなってしまった。
どんなに意気投合して分かち合っても、彼らのほうが先に旅立ってしまう。
いっそ、自分の手で我が身を葬ることが出来たらと何度も試みるのだが・・・。
私の名は、レオン。この星での仮の名前だ。姓は奈保(なぼ)。ナポレオンと呼ぶ者もいる。
地球の歴史にも記録の無いくらい、遙か昔のことだ。私も良き伴侶を得て、つつましくも幸福な毎日を送っていた。最愛の妻の名は、ジョセフィンという。
だが、いまはもうこの世にはいない。あの時のことを思い出すと、私も正気を保てなくなる。
これだけ長く生きていると、いやがうえにも人間の悪業が繰り返されることにうんざりしてくる。ああ、またかと。なんとかは死ななきゃ治らないと言うが、あれは間違っている。死んでも治らないのだ。生まれ変わったら、きっと自分の過ちを忘れるのだろう。
時代はくだり、A.D.1999のことである。私に、転機が訪れた。
古代ヘルメス文書に預言された全人類の救い主、いや、私を背徳の螺旋から解き放たんと、あまりにも長すぎる時の流れを
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます