ふるさと
生まれ育った団地は廃墟になった。老朽化による建替えのため全住民は一時的に他の住居へ移ったらしい。静止したまちに、過去の影や声が過ぎりはしない。建ち並ぶ灰色の四方形の箱、直線に切り取られた空。その狭い空から降るように、コンクリートの地面へ身を投げた少女がかつていた。やがて少女の家族がどこかへ引っ越していき、そこにまた新しい家族が入居した。誰もが同じ間取りの同じ部屋の中に暮らした。外壁に記された番号だけが異なる同型の建物の、どの屋上から少女が飛び降りたのだったか、今ではもう思い出せない。
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