ラブレター
友人に頼まれてラブレターの代筆をする。本が好きで、文章も上手だからと。買い被りだった。千の物語を知ってはいても恋は知らない。それでも悪い気はせず、母にそのことを心持ち自慢げに話すと、わたしも同じことをよくしたと懐かしげに、昔より肉の落ちた白い首を掌で包む。母の癖。顔も知らないあのおぞましい父に、母自身のラブレターを書いたことはあったのだろうか。わたしが父の女であるような戦慄が、不意にからだのなかを白く貫き、やわらかい吐き気がきた。
217 characters , 15:51
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます