僕は吐くために食べている

junnakamura

第1話

「もう歯が胃液で溶けちゃって、近々歯の手術を受けるの」

県立医大の奥、日曜の昼下がり、月に一度の自助会でAさんは笑いながら言った。

僕は始まる前に医大の綺麗な多目的トイレで吐いたカレーと胃液の味覚を感じながらそれを聴いていた。

Aさんは近々結婚すると言っていた。摂食障害を受け止めてくれる男性らしい。

良かったねなどと他の女性参加者やファシリテーターから飛ぶ。

僕はまだ嘔吐をひきずった味覚と格闘していた。

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