その100 二つの橋

その神社の

前を流れる川には

参拝のための橋が

二つ架かっていた


一つの橋には屋根が付き

壁も付き

その壁には

美しく彩色された

飛天の群舞が描かれていた

皇族が渡る橋だった


もう一つの橋には

屋根も壁もなかった

普通の木橋だった

庶民が渡る橋だった


私たち庶民は

皇族の立派な橋を

隣に見ながら

変哲もない木橋を

渡るのだった


人間には

身分の差というものがあり

それは受け入れるしかないもので

それに抗うことは

馬鹿げた恥ずかしいことだ

身のほどを弁えよ

この橋を渡る度に

庶民は刷り込まれるのだ

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