その26 もの言わぬ


散歩に出れば

気になるものばかり

路上にあるものはもちろん

交叉する道の彼方にまで

足を止めてしばし見入る

現れる人

家の中から聞こえてくる声にも

顔を振り向け耳を立て

興味津津の視線を注ぐ


居間に寛げば

カティアは私の顔がなめたくて

背中に前足をかけ

横のなれと要求する

ツムジは飽きもせず

ボールを投げてくれと

せがむ

ワラシは

落着かぬことがあるのか

ガリガリと壁板に爪を立てる


いつも

泡立っている

内面こころ


なのに

表す術なく


何と静かな存在だろう

君たちは

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