第19話:CDROMが、プレステの救世主2

 プレイステーションの普及には、このCD-ROMの恩恵が大きかった。しかし、ゲームソフトにCD-ROMを採用したのは、何もプレイステーションが初というわけではありません。3DOやセガサターンといったライバル機も同じくCDだった。


 もっと遡れば、1988年に世界初のCDをメディアにしたPCエンジンCD-ROM2が発売されています。だからCDのメリットはプレイステーション特有のものではないと思われるかもしれません。ですが、ソニーは昔から音楽CDを取り扱ってきた会社。


 それ故にCD生産の設備や効率化、流通網が確立されていた。これはライバル会社にはない強みだった。CDのメリットを最大限に活かせた事がプレイステーションの躍進に繋がった。またCD-ROMには大容量というメリットもある。スーパーファミコンソフトは最大でも48メガバイト、通常6メガバイトしかなかった。


 しかしCD-ROMの容量は約700メガバイトと、その差は実に100倍以上、プレイステーションが3Dに特化したゲーム機を実現できたのは、 この大容量おかげだった。しかしソフトメーカーは任天堂を恐れてソニーへの協力を拒んでいた。大手メーカーとしては唯一、ナムコがプレイステーションに興味を示してくれた。


 スーパーファミコン開発当初は、ソフトに多額のロイヤリティを払ったが、スーパーファミコンがゲーム機で一人勝ちになると、そのロイヤリティの分を撤廃。任天堂ファミコンが普及したからナムコはもう用済みになったと受け取られナムコは激怒した。


 そしてソニーに協力してくれるようになりリッジレーサーや鉄拳といった主力タイトルをプレイステーションへ提供し初期のプレイステーション市場を盛り上げた。当初、当時のゲームはまだまだ2Dが主流であり、ゲームに3Dを持ち込むのは時期尚早と思われていて、ほとんどのメーカーは興味を持ってくれなかった。


 しかし任天堂のライバル、セガがバーチャファイターを発表しバーチャファイターは3Dでの格闘ゲームを実現しました。キャラクターが滑らかに動き回るその映像は、ゲームの新時代を感じさせた。バーチャファイターを見た多くのゲームクリエイターは、3Dでもゲームが作れるということに驚愕した。


 その結果、様々なメーカーがプレイステーションに参入を表明してくれたのでした。任天堂やセガなどは、サードパーティ参入を拒み、大手ゲームメーカーの供給を受けていた。その点、ソニーはとにかく多くのサードパーティーに参入を促した。


 例えば、他社のゲーム機の開発機材は数100万~1000万円以上するのが普通だったが、プレイステーションではこれを150万円程度に抑え、参入へのハードルを低くした。しかも、ソフトは製造コストの安いCD-ROMのため、 サードパーティーは製造委託費を安く済ませられた。


 更に、ソフトは既存のソニー・ミュージックエンタテインメントのCD工場で行われていたためリピートが迅速に行え、機械損失を防ぐこともできた。そして、ハードのデザインや宣伝に気を使い、今まで子供のおもちゃとしか見られていなかったゲーム機を大人でも楽しめるというイメージを与える事でユーザー層の拡大を狙った。


 中でも、ファイナルファンタジー7・スクウェアの発売は、プレイステーションを大きく盛り上げた。ファイナルファンタジー7の移籍発表後、 更に多くのサードパーティーがプレイステーションにソフトを提供するようになった。そしてドラゴンクエスト・エニックスのプレイステーションへの移籍発表がダメ押しとなった。


 そして市場の流れは完全にプレイステーションのものとなった。最終的なサードパーティー数はなんと500社以上。その結果、ソニーはゲーム業界では新参者であるにも関わらず、 膨大なソフトラインアップを獲得できたのでした。結果的にプレイステーションはライバル機、任天堂64を抑え、トップハードの座を獲得。


 ゲーム史上において、初めて任天堂に勝利したハードとなった。ゲーム市場の頂点に立ったプレイステーション。しかし、桜木の野望はこれで終わってなかった。この当時、ネットバブルで、ハイテク株が急上昇しているのを見て、成宮賢は、ソニーの持ち株4400株を1999年12月28日・大納会の日に16000円で売却し5380万円を手に入れ資産が1億円となった。

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