超ドS女神 〜無能で『役立たず』とバカにされ続けた少年が毎日筋トレ100万回を続けたら……〜

白猫無限-GT

プロローグ

『オルタナ能力』


 ダンジョンの出現に伴い、人間が宿すようになった特殊能力だ。

 例えるならばゲームなどにおける固有スキルのようなもので、その種類・効果は多岐にわたる。


 例えば『剣術』。

 この能力を宿した者は、剣技における才能が高められる。

 例えば『炎』。

 この能力を宿した者は、発火と消火のみならず、炎そのものを自由自在に操ることができるようになる。

 例えば……


 このように、『オルタナ能力』は人の数だけ無数に存在する。

 だが、桃方 無雨にはその能力がない。


 それゆえ、彼は今までの人生で何かと冷遇されることが多かった。

 特にこのレイブリクス学園に入学して以来、それが顕著になった。


 毎日のように学園中の人間から雑用を押しつけられる日々。

 加えて、ほとんどの生徒は彼のことを『無能者ロスト』と呼び、冷ややかな目で見る。


 だが、そんな彼を見かねてか、校長が一つを持ちかけてきた。

 その内容は、「ダンジョンにてが発見された」とのことだった……



 ***



 校長に呼び出された翌日の早朝、無雨はダンジョンの第1層にいた。


 本来、『オルタナ能力』を持たない彼がダンジョンに入るのは自殺行為だ。

 実際、過去に無雨がダンジョンに潜ったとき、小学生でも楽勝で攻略できる第1階層でさえ、命からがらの状態に陥った。


 しかし、早朝であれば話は別だ。

 この時間帯はモンスターがほとんど出現しないため、『オルタナ能力』を持たない無雨でも潜ることができるというわけだ。


 そして、校長が彼に伝えたのは目標地点は第6層。

 第1層の約64倍、訓練を積んだ高校生がギリギリ攻略できる難易度の階層だ。


 無雨はモンスターが現れる前に、急ぎ足で潜っていった。



 ***



 ダンジョン第6層。

 ここまで全力疾走で駆け抜けてきたおかげで、ほとんどモンスターと遭遇することなく到達できた。


 途中、第1層にて『見習いゴブリン』という下っ端中の下っ端のモンスターと壮絶な死闘を繰り広げたものの、それ以外には特に危なっかしい場面はなかった。


 しかし……


 ――『ドオォンッ!!』


 突如、そんな彼の頭上で分厚い岩石の天井が砕ける音が轟いた。

 そして……


「グルルル……」


 無雨の目の前に、深紅の表皮を纏い、巨大な棍棒を携えた大男のようなモンスターが降ってきた。


 そのモンスターの名は『オーガマン』。

 その強さは、無雨が第1層にて死闘の末に撃破した見習いゴブリンの親玉、『マッスルゴブリン』20体分に匹敵する……


 そんな化け物と目が合うと、無雨は一目散に逃げ出した。

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