月桃館五〇三号室の男 三 ~天譴(てんけん)の山~

山極 由磨

第一部・彷徨える氷原

第一部あらすじ

全世界を巻き込み七年五か月にも渡り戦われ、


決定的な勝者も確定されぬまま休戦を迎えた『全球大戦』は、


累々たる死者と深刻な荒廃の他に、極めて厄介な問題を後世に残す事となった。




帝国と同盟の境界線上に横たわる広大な氷河

『チュルクバンバ氷原』の帰属問題である。




境界線の確定を巡る話し合いは何度も持たれたものの、


過酷な自然環境と治安の不安定さを理由に、


同盟は一向に確定に必要な測量を行おうとしない。


これに対し、帝国新領総軍特務機関長のトガベ・ノ・セツラ少将は、


空前絶後の策を案じる。


その成功に欠く事の出来ない革新的技術の開発責任者として、


若干二十四歳の原住民女性士官シィーラ・ルジャ・シャルマ少尉に白羽の矢が立つ。




突如として与えられた過酷な任務。


はたして彼女は達成する事が出来るのか?





おことわり


本作には差別的な言葉や表現が多数登場いたします。


これは本作の世界観やテーマを表現するのに欠かせない物として掲載しており、


決して差別や偏見を助長したり固定化する意図は御座いません。


あしからずご了承ください。

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