ニート、正社員に告られる。

白川氷水

プロローグ

 新卒1年目、都内で正社員として働いていた俺は、ある時なんとなくズル休みをしてみた。それは1日だけのズル休みのはずだった。しかし、大学時代の大半を寝て過ごした俺は怠惰の魅力にハマり、労働のクソさに気付いてしまった。


 それがキッカケで会社に行くのが面倒になり、折角ならばと昔からやってみたかったニートを1年間の期限付きでやってみる事にした。1年間にした理由は、短いし期限付きだからなんとなく罪悪感を感じないだろうと思ったからだ。あと貯金額を見て1年なら余裕そうだと思ったからと言うのは内緒。


 それからは計画的に退職計画を進めて2ヶ月位経っただろうか。遂に退職日がやって来た。

 胸を躍らせながら辞表を提出し、引き継ぎと片付けを終えて挨拶も済ませた。今この時を以って俺はニートになった。軽やかな足取りで帰宅しようとした刹那、「ちょっと待って!」先輩から呼び止められた。先輩は俺より3歳年上の黒髪ロングで、物静かで優しく、おまけに美人という同期の間では1番人気の先輩だった。そんな先輩が俺になんの用事があるのだろう...。

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