やっぱり殺虫剤

20階層へと踏み入れるが、生い茂る草木に行く手を遮られ思うように距離を稼げない。

本当はフルフェイスのヘルメットでもかぶれば万全なんだろうけど、それをしてしまえば視界が限定され動きが鈍ってしまうので難しい。


「マイロード、蛇です」


ベルリアがヘビの襲来を知らせてくれる。


「たのんだ」

「おまかせください。白麗剣の錆としてくれましょう」


ベルリアが大蛇と対峙し、剣を一閃する。

このヘビはモンスターではないらしく、魔核を残すことはない。

いくら大きくても、ただの蛇がベルリアの脅威となることはない。

一振りであっさりと倒してしまう

ダンジョンのモンスターは倒せばその姿は消え去るが、モンスターではない虫や生き物は倒したとしても消え去ることはない。

この階層ではモンスター以外の生物も多く、当然のように眼前にはヘビの死骸が横たわっている。


「ミク、蛇って食べたらどうなのかな」

「骨は多そうだけど、食べられなくはないんじゃない?」

「これ持って帰る?」

「いやよ。モンスターミートなら嬉しいけど、普通にヘビだしいらないわよ」

「まあ、そうだよな」


大蛇の死骸を残してダンジョンを先へと進む。


「うん今のところいい感じね」

「なんの事?」

「昨日に比べると虫刺されも減ってるし、ヒルも寄って来てないし装備を新調した甲斐があったみたい」

「それはよかった」


まあミクの場合、探索者にしては今までが露出度高めだっただけな気もするけど。


「このスパッツ優れものね」


それは300万円だもんな。

虫の攻撃くらいは防いでくれないとな。

それにしても技術の進歩は凄いな。

ほぼ、普通のタイツにしか見えない。

俺が着た場合動きがスムーズになるのは間違いないだろうけど、全身に纏うのは少し憚られる。

生地が薄すぎて凹凸がしっかりと現れてしまいそうだ。

マントがあればある程度は隠せるけど、パーティメンバーが女性であることを考えると今のスーツくらいがいい気がする。


「海斗さん、あそこにヒルがいるのです」


少し先にはこぶし大のヒルがゆっくりと動いているのが見える。

このまま放っておいても問題はないけどいい機会だ。

ここの大ヒルに本当に効果があるのか試す。

ヒルキルキラーZを手にヒルへと近づき吹きかける。

いつもの殺虫剤よりは一回り小さい。

そのためか、スプレーの勢いも少し弱めだが動きの遅いヒルには問題なくヒットする。

しばらく噴射を続けてみる。

スライムのようにわかりやすい変化はないが、効いてきたのか徐々に不自然な動きを見せ動かなくなった。

どうやら、問題なくここの大ヒルにもヒルキルキラーZは効果を発揮してくれた。

この様子ならおそらく忌避効果も十分に期待できるだろう。

これでヒルにおびえる必要はなさそうだ。

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