祭りのあと
「バチ〜ン」
「う、う」
既にベルリアのほっぺたは真っ赤に腫れ上げっているが、ルシェによる容赦ないビンタの効果が漸く現れたのかベルリアが若干の反応を見せる。
「おい、いい加減起きろ!」
「うぅ〜ん」
まだ、精神攻撃の影響が残っているのか、反応は見せるもののなかなか覚醒する様子はない。
「わたしの手も痛いんだから、いい加減起きないと本気で張り倒すぞ!」
俺には結構強めに張っているようにも見えるけど、確かにルシェが本気でやったらベルリアの頭は弾けてしまうかもしれない。
「バチィ〜ン、バチィ〜ン」
更にルシェが左右の頬を張る。
「う、うぅっ、頬が……」
反応が大きくなってきた。流石にそろそろ目覚めそうだ。
「バチィ〜ン」
「痛い……。燃える……」
「おい、ベルリア! 寝ぼけてるんじゃないぞ! さっさと起きろ〜!『バティ〜ン』」
「い、痛い。な、なにが!?」
おおっ、ようやくベルリアの意識が戻ったようだ。
「い、いったい、この痛みは?」
ベルリアが正常ではない場合に備え、一応バルザードを構えて少し距離を置いて観察する。
「おい!」
「え、あ……ルシェ姫?」
「寝ぼけてるんじゃないぞ! お前なにをやったのかわかってるのか?」
「何をやったのか? はっ、そういえば19階層主であるスライムと戦っていたはず。スライムは一体どこでしょうか」
「お前もしかして何も憶えてないのか?」
「ルシェ姫何の事でしょうか? それにこの頬の燃えるような痛み。まさか知らない間にスライムから攻撃を受けてしまったのか。このベルリア一生の不覚!」
ベルリア、それはスライムじゃなくてルシェだぞ。
しかも不覚って、そこじゃないから。
「ベルリア……」
「シル姫、まさかもう戦いは終わったのですか?」
「ベルリア、紫のスライムに覚えは無いですか?」
「紫のスライムですか? そういえばそのような色のスライムがいたようないなかったような」
「あなたは、紫のスライムによる精神攻撃を受けてしまったのです」
「なっ……そんなバカな。この私がスライムなんかの攻撃を?」
「気持ちはわからなくは無いですが、事実です」
「そんな……それで意識を失っていたのか。このベルリア一生の不覚!」
ベルリア、一生の不覚ばっかりだけど意識を失っていた訳ではないぞ。
「ベルリア、そうではありません。あなたは紫のスライムによる精神攻撃を受け、洗脳状態に陥ったのです。あろう事かご主人様や私達と相対しあまつさえ攻撃してきました」
「シル姫様。いくらシル姫様とはいえそのような冗談は笑えません。不覚にも意識を失っていたとはいえそのような」
「…………」
「シル姫様? ルシェ姫……マイロード? いえ、そんなはずは……はは……え? えっ……」
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