19階層主戦2

俺の攻撃を脅威とは認識していなかったのか、ベルリアの頭上のボススライムは殺虫剤ブレスを避ける事はなかった。

ブレスを浴びたボススライムは一瞬動きを止めたように見え、その直後ブルブルと震え始めた。

やった。

こんなに簡単に決まるとは思っていなかった。

まさかの一撃。

しとめたか?

ブレスを終えると同時に一歩下がりビッグスライムの様子を注視する。

震えるボススライムの色が徐々に変化をみせる。

なんだ? 

色の変化と共にブレスを浴びた側面の一部が切り離され、本体はその場から高速で移動した。

切り離された一部はそのまま消失したが、離脱した本体は特段ダメージを負った様子はない。


「ダメージを切り離した?」


今までそのようなモンスターはいなかったが、そうとしか思えない。

ボススライムはその体色を青へと変え、更に一部が分離し、分離した部分が独立した動きを見せた。


「ベルリア!」

「おまかせください」

「あいりさん、行きます」


ベルリアが本体を追い、俺とあいりさんで分離された敵へと向かう。

分離された敵の大きは、通常のスライムと大差ない大きさで、外見がメタリックな事を除けば一般的なスライムと見分けがつかない。

俺とあいりさんが近づくと、敵が消えた。

ボススライム同様、消えたように見えるほどのスピードでの高速移動。

辛うじて、視界の端に捉えることが出来たが、ギリギリだ。

視界の端ではスライムが小刻みに震えているのが見える。

その姿に嫌な予感を覚え、咄嗟にその場から後方へとステップバックする。

次の瞬間さっきまでいた場所が凍りついた。

これは、青色のメタルモンスターが使っていたのと同じスキルだ。


「ベルリア!」


俺もヤバいけどベルリアが危ない。

咄嗟にベルリアへと声をあげる。


「マイロード、心配無用です。その程度このベルリアの想定内です」


ここはベルリアを信じるしかない。

集中力を一気に高めてアサシンのスイッチを入れ、青いスライムへと駆ける。

俺に続くようにあいりさんも走り出したのを確認する。

アサシンの能力を発動しても、スライムの動きを完全に捕捉する事は難しい。

ただ、こちらの反応速度や感覚が鋭くなる事で、敵のスキルを回避しやすくなる。


「援護するわ。『ライトニングスピア』」


スライムがいくら速くても雷の速さには敵わない。

ミクの放った雷の槍がスライムを捉える。

ボススライムにはシルの雷撃すら効果はなかった。

こっちはどうだ。

外傷らしきものはないが、震えも止まっている。

あいりさんと俺はそのままスライムへと突っ込み攻撃を放つ。


『斬鉄撃』


スライムはあいりさんの必殺の一撃を躱す素振りを見せる事なく、そのまま消滅した。


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