眼福
結局、ルシェに押し切られる形で探索を続ける事にはなったけど状況が劇的に変わる事はなく、ルシェとシルが張り切る形で進んで行った。
ただ『炎撃の流星雨』だけは固く禁じておいた。
その火力を鑑みてもあまりにハイコストすぎる。
それでもスライムの魔核をドンドン消費しながら進んだお陰で距離は伸び、そして俺達の肉体的な負担は激減し俺の心労が増えた。
「そろそろあがろうか」
「ふ〜今日は働いたぞ。感謝しろよ」
「頑張りました」
二人共大量の魔核を食べることができて満足したんだろう。
もうここまでというタイミングを見計らい探索を切り上げて地上へと戻った。
「海斗さん、大丈夫です?」
「うん、大丈夫じゃないけど明日もあるから」
「よかったらわたしの分も使ってもらっていいのです」
「ありがとう。どうしようもなくなったらお願いするけどまだいけると思う」
「そうなのですか。シル様もルシェ様の食べてるお姿も眼福なのです」
あぁ、俺も最初シルがおいしそうに魔核を食べてるのを見た時は眼福だと思っていた時期もあったなぁ。
色々あったからもう随分前のことのような気がするけどまだ一年くらいしか経ってないんだよな。
この一年で俺も変わってしまったのかな。
ヒカリンはまだスレてないんだな。
俺は主にルシェのおかげでスレてきてしまったのかもしれないけど、やむを得ない。
「ああ、ルシェ様とシル様はいつも本当においしそうにされているからな。あれを見るといくらでも食べて欲しいと思ってしまう」
「ああ、それありますね。ティターニアちゃんも控えめだけど食べ方かわいいし」
あいりさん、いくらでもは無理です。
多分二人は底なしです。
「それじゃあ、また明日」
明日の予定を確認してからみんなと別れ家路につくことにする。
冗談抜きで明日はベルリアに復帰してもらわないと魔核が足りなくなってしまう。
ベルリア明日は大丈夫だよな。
まさか明日までヘロヘロで使い物にならないなんて事はないよな。
それに今日の強行軍でかなり距離を稼げたのでマッピングを見る限り19階層のかなり奥まで近づいているのは間違いなさそうだ。
明日の状況次第ではもしかしたら20階層への階段まで辿り着く可能性は十分にある。
それを考えると、ベルリアに魔核にと心配事は尽きないけど、いつも以上にルシェ達が食べていたからかなんとなく俺もお腹が減ってきてしまった。
多分今日もカレーだろうし、明日の景気付けもかねてコンビニでトッピング買って帰ろうかな。
最近出た、スパイシーチキン納豆風味も気にはなるけど、明日ダンジョンでお腹の調子が悪くなってもまずいしここは定番のフライドチキン松坂牛風味にしておくか。
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