ラミアは怖い
「うわぁっ!」
弾き飛ばされた地面には複数のヘビが這っており、俺の目の前には明らかに毒ヘビらしきのがこちらに向けて襲って来ようとしているのが見えたので、必死にその場から飛び起きて態勢を立て直す。
「なによ、その武器。ピリッとくるじゃない。鬱陶しい」
雷の魔刀がピリッと? 耐性高すぎだろ。
やはりボスだけあって強い。
隼人と連携して隙をついたのに全く歯が立たない。
ここにはシルもルシェもいないので、チートじみた逆転はない。
「隼人! 攻めるしかない。いくぞ!」
「あ、ああ。やるしかない。やるしかないな。だけどこえ〜」
確かに怖い。だがやるしかない。
俺はバルザードを振るい斬撃を放つ。
隼人も俺の攻撃に合わせるように両手に持つ釘をラミアに向けて連投するが、ラミアの外皮に弾かれダメージが入った様子はない。
俺たちの遠距離攻撃ではラミアを倒すことは難しい。
こちらのリスクも跳ね上がるが近接で倒すしかない。
折られた脇腹がまだ痛みを発しているが、再びバルザードに氷を纏わせ集中力を高める。
出し尽くしても足りないかもしれない相手だ。出し惜しみはなしだ。
アサシンの能力を発動し、ラミアへと駆ける。
「チョロチョロネズミが! 食べてやるわ」
こいつなら、冗談抜きで俺たちのことを食べてしまいそうだが、食べられてやるわけにはいかない。
間合いに入る寸前。左横からラミアの尻尾が動くのが見えたので必死に躱す。
アサシンの効果で遅く見えていても、死角からくるその一撃は予測していなければ躱すことが難しいほどの一撃。
だが、今は完全に予測した俺の方の反応速度が勝っている。
迫ってくる尻尾を掻い潜り、前へと踏込み懐に入ろうとするが、ラミアが手に持つ三叉の槍のような武器で斬りかかってきた。
「マスター!」
後方からティターニアの声が聞こえ、ほぼ同時にラミアの振りかぶった腕に穴が開く。
「小娘〜! 邪魔をするな〜!」
ラミアは傷ついた腕を、俺にではなくそのままティターニアの方へと振るう。
ラミアの振るった杖からは水の蛇が現れ、ティターニアに向かって襲いかかる。
「このくらいっ」
ティターニアがドラグナーを放ち、向かってきた水蛇を消し去る。
「生意気に歯向かうんじゃないわ」
再びティターニアに向けて杖を振おうとしたので、魔氷剣をラミアの腕に向けて振るう。
腕にあたると同時に硬質な抵抗感があり、剣をそれ以上振ることができない。切断のイメージを魔氷剣にのせて力を込めるが、やはり振り切ることはできない。
もう一方の腕で、動きの止まった俺に向かって攻撃を仕掛けてくる。
その指には刃物のように鋭利な爪がこちらに向かって伸びてきているのがはっきりと見える。
俺は目線を外すことなく、魔氷剣をラミアの腕から引いて、爪による攻撃を最小限の動きで回避する。
伸びた爪が俺の頭を貫こうと迫ってくるのを、首を傾げてスルーして更に一歩踏み込み、魔氷剣を下から跳ね上げラミアの胴体を斬りつける。
握る手にガリガリという抵抗感が伝わってくるが、力を込めて振り切る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます