ダンジョンは沼のようなもの
それからもシルとルシェは、モンスターが出現するたびに悲鳴をあげ場を混乱させているが、以前の時はアタッカーが俺一人だったのでそれを考えると、前衛が三人いる今は随分と余裕を持って進むことができている。
ただ、マップを見る限り既に四階層のおもだったところは、ほぼ確認が終わっている気がする。
「隼人、やっぱりいないんじゃないか?」
「そうだな。四階層にはいないかもしれないよな。もしかしたら五階層へ向かって帰れなくなったんじゃないか?」
「たしかにその可能性もあるな」
野村さんたちは、少し前まで四階層をベースにしていたはずだ。
五階層に挑んで戻れなくなった可能性はなくはない気がする。
「隼人、どうする? このまま五階層に向かうか?」
「これ以上四階層を探しても難しい気がするし、行くしかないだろ」
「隼人、さすがに六階層まで行った可能性はゼロだと思うから五階層がダメなら帰るからな」
「わかってるって。まあ久しぶりに海斗とダンジョンに泊まりこむのもありだけど、親に言ってこなかったから一度は戻らないとな」
「いや、明日も学校あるし普通に帰るからな」
「わかってるって」
俺たちはそのまま四階層を抜けて五階層へと向かった。
五階層にいる可能性もあるが、そもそもダンジョンにいない可能性が一番高そうだ。
「ふ〜ようやく抜けたか。もう二度と四階層はごめんだぞ」
「だからカードに戻ってもいいって言っただろ」
「そういうことじゃない!」
「ご主人様、この階層であれば十分お役に立てると思います」
「ああ、頼んだぞ」
以前の俺はこの階層ではアタッカーとしては火力不足で役に立つことは出来なかったが、バルザードと魔刀を使っている今ならいける。
「そういえば今更だけど海斗って、師匠の真似して二刀流にしたのか?」
「いや、別に真似したわけじゃないけど、持ってる武器は使った方が有効だからだよ」
「そうなのか。俺もそろそろ武器をグレードアップしたいんだよな」
「武器は前から変わってないのか?」
「いや、さすがに斬れなくなって一度変わってはいるけど、あくまでも普通の槍だからな。この階層の敵には相性悪い。俺も魔槍とか聖槍みたいな特殊効果付きの武器がそろそろ欲しいんだ」
「聖槍ってシルのみたいな?」
「いやいや、シルフィーさんのみたいな槍は俺には使いこなせないだろ。もっと庶民的な感じで威力が増すと嬉しいんだけどな〜」
庶民的な魔槍に聖槍ってそんなものあるのか?
「まあ特殊な武器は高いからな〜。ドロップでもない限り最低でも五百万。槍なら一千万円はするだろ」
「そうなんだよ。高いよな〜。俺も頑張って潜ってるから無理すれば出せなくはないんだけど、高校生の身で一千万は勇気いるよ。貯金して将来いい車でも買った方が女の子にモテる気もするし。槍じゃモテなさそうだろ」
「いや、槍をモテる基準にするのが間違ってるだろ。まあ気持ちはわかるけど」
俺は既に一千万以上使っているけど、隼人の言うように時々思う。
ダンジョンは抜けることのできない沼のようなものだと。
先に進む為にはいい武器やお金が必要になる。
よりお金や武器を手に入れる為には先に進む必要がある。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます