春香と純喫茶

放課後になり春香と二人で純喫茶ジュピターに向かう。

春香に連れられて向かった先には、歴史のありそうな店構えの純喫茶へと到着したので、そのまま店内へと入る。

時間が中途半端なのかお客さんは俺たちだけのようだ。


「海斗、なににする?」


メニューを見るとかなり年季の入ったメニュー表で、内容も純喫茶っぽいメニューが小さい写真入りで並んでいる。

俺の目にとまったのは、色鮮やかな懐かしい飲み物。

鮮やかな緑色にアイスクリームののったメロンソーダフロート。

子供の頃に飲んだ記憶が蘇ってくるが最後に飲んだのは小学生の四年生か五年生の頃だったと思う。

今見ても、異界を思わせるすごい色だ。だけど飲みたい。


「俺はこのメロンソーダフロートにしようと思う」

「あ〜おいしいよね。私はこのホットケーキと紅茶にしようかな」


この前カフェで食べたパンケーキではなくホットケーキというのが妙に安心感がある。

ほぼ同じ食べ物なのにパンケーキになっただけで、おしゃれ食べ物になったような不思議。


「海斗、最近忙しそうだったけど、ダンジョン大変なの?」

「新しい階層になって、少し苦戦してるんだ。それと魔核の消費量も増えたから」

「ティターニアちゃんかわいいよね」


明らかに、ティターニアの風貌を把握している言い方だな。


「写真で見たの?」

「うん、ミクとヒカリンが送ってくれたんだよ。それにお化けとかも怖いよね。私、この前のお化け屋敷も怖かったから、みんなすごいなって感心しちゃった」

「女の子たちの方が、お化けは全然怖くないみたい。俺は、相手によっては怖い時もあるけど、今のところなんとかなってるよ」

「デュラハンの写真も送ってもらったんだけどあれは……」

「あぁ、あれを見たのか。あれは無いな。ホラーだよ」

「うん、あれを見た時は夜寝るのが怖くなっちゃった」


それはモンスター耐性のない春香があれを見れば怖くもなるだろう。ミクかヒカリンかはわからないが、なにを思ってあれの写真を送ったんだ? あれはほとんど呪いの写真と言っても過言ではない。

相変わらずいつの間に写真を撮ったんだろう。


「メロンソーダフロートになります」

「ありがとうございます」


春香と話していると、メロンソーダフロートがでてきた。

一緒に春香のパンケーキと紅茶も出てきたので、さっそく飲んでみることにする。

甘い……だけど懐かしい味でおいしい。

アイスクリームが混ざって更においしい。


「おいしい?」

「うん、久しぶりに飲んだけどおいしい」

「ソーダフロートってアイスが溶けると本当においしいよね。でも飲んだ後に舌が緑になるから、予定がない時しか頼めないよ」


たしかに女の子が真緑の舌のまま、出かけたりするのはちょっと厳しいかもしれないな。


「春香の方はどう?」

「うん、おいしいよ。よかったら海斗も食べてみる?」

「じゃあ、お願いします」


春香がホットケーキを切り分けてくれる。

ホットケーキを口に入れると、ふわふわでおいしい。

これも懐かしい感じの味だが、家で作るのとは一線を画すおいしさがある。


「たしかにおいしいな。カフェのパンケーキとは違ったおいしさがある気がする」

「うん、わかるよ。カフェもいいけど、ここも落ち着くしいいよね」


カフェは、今でも周りの目が少し気になったりするが、ここはそれがないので、春香ともゆっくり話ができる。

純喫茶に来たのは本当に久しぶりだが、個人的にはカフェよりもいいかもしれない。



あとがき

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