第650話 ついに
「ああああっ! あれって、あれだよな!」
「ベルリア!」
「はい、私ににもそう見えます」
「そうだよな!」
進んだ先にはついに待ち焦がれたピンクゴールドっぽい色のスライムが佇んでいた。
今まで出現した事のあるメタリックカラーとは色が違うが、間違いなく普通の色では無い!
こいつだけは! こいつだけは、なにがなんでもしとめなければならない。
俺が思わず出した大声に反応して、ピンクゴールドのスライムが反転した。
絶対に逃がさない!
「シル! ルシェ!」
「おまかせください。絶対に逃しません『神の雷撃』」
「ここまで待ったんだ! 逃がすわけがないだろ! 燃え尽きろ『炎撃の流星雨』」
二人の攻撃を待たずして俺も最大の一撃を放つ。
「絶対に逃がさない!『愚者の一撃』」
「逃げられると思わないでください『ヘルブレイド』」
四人の攻撃が、その矮小なモンスターへと集中する。
逃げようとして逃げられるはずは無い。
轟音と共に攻撃がピンクゴールドのスライムへと命中する。
完全なるオーバーキル。
考えるまでも無くオーバーキルだが、そんな事はどうでもいい。
俺のHPも一気に減ったがそんな事は問題では無い。
このスライムに全てを懸けていると言っても過言では無い。
ただ次々に極大ともいえる攻撃が命中するのを見て、存在そのものを消し去ってしまうのでは無いかという一抹の不安を覚えてしまった。
ルシェの『炎撃の流星雨』がおさまるのを待って、スライムのいた場所を凝視する。
徐々に視界が晴れてくる。
当然ピンクゴールドのスライムの姿はそこには無い。
どうやら無事にしとめる事は出来たようだ。
あとはドロップ……
「ベルリア! どうだ?」
「マイロード、今確認しています」
どうだ?
とりあえず今見える限りでは魔核は残されていないように見える。
魔核だと小さくても、キラキラしているのですぐに目に入るが、それは無い。
魔核がなければドロップがあるはず。
まさか何も無いという事は無いはずだ。
「マイロード、あそこに」
「どこだ?」
「あそこです」
ベルリアが指す場所を食い入るように凝視する。
俺にはまだ何も見えなかったが、フラフラとしながら歩いて行く。
「ご主人様、先に回復を!」
「いや、大丈夫だ」
本当はHPが一桁まで減っているので大丈夫では無いが、それどころじゃ無い。
これで運命が決まると言っても過言では無い。
そのままフラフラと進んで行くと俺の目にもはっきりとそれが映った。
あれは……
間違いなく『サーバントカード 』
既にこれまでに三度見ているので間違いようが無い。
「おおおおおおおおおおおおおお〜っ! でたあああああああ〜!」
ついに、ついに出た! 四枚目のサーバントカードが出た。
この瞬間俺は賭けに勝った。
明らかに今回は2000匹を遥かに超えた数を狩ったはずなので、一定数を狩れば現れるという根拠が揺らぐ中で、これしか無いとスライム狩りに賭けたが、結果的に俺は運命に勝った。
これで……
これでカオリンが……
俺はサーバントカードのところまで歩き、地面に残されたそのカードを手に取った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます