第636話 総攻撃

「これでもう終わりです。我が敵を穿て神槍ラジュネイト」


落下したスカルドラゴンに向けてシルが神槍の一撃を放つ。

既にダメージを受けていたスカルドラゴンに抗う術はなく、シルの一撃により頭部を破壊され消え去った。

残るはネクロマンサーのみ。


『ライトニングスピア』


ミクがネクロマンサーに向けて攻撃を放つ。

雷の槍が頭部を貫いた瞬間、何も起こらなかった。


「どうなったんだ……」


俺には何が起こったのかよくわからないが、放たれた雷の槍が着弾と同時に消え去った。

ミクが続けざまにスピットファイアのトリガーを引き、火球を連続でお見舞いするが、着弾の直前で消えてしまった。

先程の雷の槍と同じだ。

俺の目には見えないが、こいつもスカルドラゴンと同じように何かの外装を纏っている。

スキルを発動した気配もないので、それしか考えられない。

だが、炎も魔法も通じないとなるとミクでは無理だ。


「やぁああああああ! 『斬鉄撃』」


あいりさんが、一気に距離を詰めて必殺の一撃を放つが、あいりさんの薙刀は見えない膜に阻まれてダメージを与える事ができない。


「まだだ!『アイアンボール』」


あいりさんが至近距離から鉄球をお見舞いした。

近距離からの鉄球はネクロマンサーにあたりはしなかったが、鉄球の衝撃によりネクロマンサーが後方へとブレた。

何かに守られているのは間違いないが、全く攻撃が通じないということは無さそうだ。


「今度は私の番ですね。そんな脆弱な防御など紙と同じです。我が敵を穿て神槍ラジュネイト!」


シルが二発目の神槍の一撃を放つ。

光を放つ神槍の一撃がネクロマンサーに突き刺さると、ネクロマンサーは弾かれたように吹き飛んで壁へと激突した。

ネクロマンサーを見ると胸骨の部分に大きな穴が空いている。

シルの一撃はネクロマンサーにも致命傷を与えていた。


「…………っ」


またネクロマンサーの呟くような呪文が聞こえると、胸に空いた穴が閉じはじめた。


「しつこいやつだな。さっさと消えろ! わたしは、お前らの相手はもう飽きたんだ! 燃えて無くなれ!『

炎撃の流星雨』」


ルシェがまさかの本日二度目となる火球の雨を降らせた。

先程と同じように地鳴りのような音を響かせ、火球が降ってきた。

しかも相手はネクロマンサーのみ。

ネクロマンサーに向けて大量の火球が降り注いだ。

あまりの熱量に前がよく見えない。

数十秒に及ぶ轟音が収まり、周囲の粉塵が晴れてくるとその場にはネクロマンサーの姿は無くなっていた。


「やったのか?」


さすがのネクロマンサーもあの降り注ぐ炎の暴力にはなす術がなかったようだ。

終わった……

やはり階層主は簡単な相手ではなかった。

俺とベルリアは戦闘不能。

スナッチもかなり消耗している。

ルシェもかなりのMPを消費したはずだ。

だけど、消耗した以外はメンバーに被害を出すことなく倒せてよかった。


「疲れたな……」


俺はマジック腹巻から低級ポーションを取り出して飲み干す。

ポーションの効果で倦怠感は残っているが大分楽になってきた。

そうだ、ドロップアイテムは?

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