第557話 ガトリング

都さんが再び『アースハンマー』を発動して水竜の注意を引くと、涼さんがとどめをさす為にグレネードランチャーを構えて水竜に向けて放つが、水竜が即座に反応してウォーターブレスを返して来た。

グレネードランチャーの弾はウォーターブレスに阻まれたようで水竜に着弾する事はなかった。


「よそ見すんな、こっちだぜ〜!」


ウォーターブレスを放ち無防備となった水竜に剛さんが戦斧で渾身の一撃をお見舞いし、戦斧の刃を横腹にめり込ませる。


「ギャアアアア〜!」


戦斧の斬撃による痛みで水竜が大きな動きで暴れ始めた。

ウォーターブレスを四方に連発し始め、全く近づく事が出来なくなったので剛さんも被弾を恐れて今は後方へと下がっている。


「あ〜、これって完全に怒らせましたね〜」

「都、呑気な事言ってないでスキルを放ちなさいよ」

「は〜い『アースハンマー』」


都さんがスキルを放つが、やはり連続で放たれる水竜のウォーターブレスの前にダメージを与える事は出来なかったようだ。


「しょうがないな。またこいつの出番だな」


冬彦さんが再びハンドガトリングを構えて引き金を引いた。

無数の弾丸が放たれウォーターブレスの隙間を抜け水竜に着弾すると、しばらく間をおいてから水竜はその場に倒れた。


「よし、とどめを頼む」


冬彦さんの声で三人が一斉に走り出して、各々が倒れた水竜に渾身の一撃を見舞いとどめをさした。


「弾が勿体なかったな〜。それにしても高木くん君達のパーティの戦い、チラッと見たけどあれは何?」

「え? 何って何がですか?」

「俺達が総出でなんとか倒した水竜を君達瞬殺したよね。しかもそっちのサーバントの女の子の攻撃って水竜を一撃で消滅させてたよね。完全に反則級だったんだけど」

「はは……水に雷で相性が良かったんですよ」

「いや、あれは相性だけの問題じゃないと思うけどな。それにミクちゃんの攻撃もかなりのものだったぞ。君達もしかしてもっと下層まで行ってるパーティなのか?」

「いえ、十七階層に入ったばっかりですよ」

「信じられないな。スキルだけで水竜を倒してしまうんだからな」

「そうよ、私の攻撃なんかダメージ与えられなかったんだから。羨ましいわね」


褒めてくれるのはいいけど、過剰評価のような気がしてなんとも答えにくい。


「それはそうと、皆さんの火器も凄いですね。ガトリングにグレネードランチャーに後は爆弾ですか?」

「ああ、十五階層からは必須だからな。これが無いと先に進むのは無理だろう」

「そうなんですね」

「高木くん達は、どんなのを使うんだ?」

「俺達は、特には……まあこれぐらいですかね」


そう言って俺は『ドラグナー』を取り出して見せた。


「マジか……これって動くのか?」

「もちろん動きますよ。蒼い光を放って弾を撃ち出します」

「威力は?」

「どうやら、ドラゴンに特攻があるみたいで、かなり効きますよ」

「こんな銃初めて見たよ。正に浪漫武器だな。カッコいい! 俺も欲しいぐらいだよ」

「思わず買ってしまったんですけどかなり役立ってますよ」

「いいな。それで他には特別な武器とか無いのか?」

「後は魔核銃を何人か持ってるぐらいですね」

「それだけか。それでここまで来れてるのか。普通に高木くん達すごいな。若さと才能だよな」


妙に褒められて、こそばゆい感じだが、物理的火器を使いこなしている冬彦さん達のパーティもかなりのものだと思う。


「でも、冬彦さん達の戦い方を見て、物理的火器もこれからの戦いで必要かもと思いました。いざという時に威力を発揮しますよね」

「ああ、ただ燃費は悪いからな。俺のガトリングも威力は申し分ないんだが、弾を撃ち出しすぎてコストがな……」

「それは思いました。でもあれを手で持って撃てるって凄い体力ですね」

「ああ、最初使った時は反動で肩が脱臼したかと思ったから、地上で筋トレに励んでるんだ」


やはり、魔核銃でも反動があるのだから、あれだけの威力の物を手で持って撃ち出すとは、並の事ではないようだ。

確かに冬彦さんも結構いいガタイをしているように見えるが、高火力の火器を使いこなすには、アクションスター並みに鍛える必要があるのかもしれない。

俺にはちょっと無理かもしれないな。

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