第442話 頑張れベルリア

下級龍の注意すべき点は、足の短さに似合わない高速移動とブレスによる攻撃だが、どちらもミクとカオリンにより封じ込めているので怖さはそれ程無いが外皮が硬い事には変わりは無い。

俺はあいりさんの『斬鉄撃』を放つ隙を作るべく、移動を繰り返しながら届くか届かないかぐらいのギリギリの位置まで迫ってからバルザードを振るう。

俺が倒す必要はないので注意を引く様に少し大振りに剣を振るうが、相手もそれなりのサイズのモンスターなので結構な迫力がある。ただラッターランドのリアルモンスターハウスの最後に出て来たモンスターの方が何倍も怖かった。


「やあああああ〜」


あいりさんの気合いの声が後方からするのと同時に薙刀の一撃が下級龍の首を刈り取った。

残るはカメラ2体だがベルリアが1人で果敢に攻撃を仕掛けているが回転するカメラは鉄壁とも言える防御力でベルリアの2刀を阻んでいる。

「ベルリア下がれ!シル、ルシェ頼んだぞ!」

「くるくる回っているだけで私の攻撃が避けられるはずがないでしょう『神の雷撃』」

「さっさと消えろ。くるくる目障りなんだよ。焼けて無くなれ『破滅の獄炎』」


俺の指示に反応して、シルとルシェがほぼ同時にスキルを発動して目の前のカメラに雷と炎が降り注いだ。

炎への耐性を見せていたカメラだが、ルシェの獄炎の前には無力だった。炎が立ち昇ると同時に燃え始め瞬時に灰と化した。

同じくシルの雷もカメラの魔法耐性を無効化して一瞬でカメラを灰に変えてしまった。


「凄いな。カメラも一撃か……。2人共流石だな。ベルリアは次頑張ろうか」

「マイロード次は必ず仕留めてみせます」

「まあ、得手不得手があるからな。とりあえず魔核を集めて来てくれ」

「はい、お任せ下さい」


俺達があれだけ苦戦したカメラだがシルとルシェには全く問題にならなかった。流石は最強の剣。

ベルリアが魔核を回収するのを待ってから2人にスライムの魔核を渡してから進んで行く。


「海斗さん、結局土日はどこに行ったんですか?」

「ああ、カオリン達にノープランはダメだって言われたから土曜日は映画に行って、日曜日はラッターランドへ行ってきたよ」

「ラッターランドですか。私も小さい時はよく連れて行ってもらったのです。最近は行けてませんが……」

「それでどうだったのよ。彼女とうまく行ったの?」

「いや彼女じゃないけどな。それが俺も小学校以来だったんだけどかなり凄かったよ」

「凄かったってどうだったのよ」

「それが乗り物は激しすぎるし、お化け屋敷は怖すぎるし、とてもじゃないけどファミリー向けとは思えなかった。夢の国って言うより悪夢の国に近かったかも」

「それじゃあ楽しく無かったのね」

「いや物凄く楽しかったよ。俺どうやら絶叫系の乗り物は苦手だったみたいで、ほとんど死にそうだったけどね」

「楽しくてよかったですね。それはともかく海斗さんはあれだけダンジョンでも飛んだり落ちたりしてるのに絶叫系ダメなのですか?」

「ああ、俺も大丈夫だと思ってたんだけど乗ったら全くダメだった。それにあそこのお化け屋敷はやばいよ。春香と2人で本気でびびった」

「海斗はそれなのに凄く楽しかったのか?」

「はい、春香と一緒だったんで物凄く楽しかったですよ」

「そうか。ベタ惚れというか、お花畑というか、まあ良かったな」

「海斗さん次の土日もデートなんですよね。行く場所決めたのですか?」

「デートではないけど、まだ決めてないよ。今度はあんまり激しくない所を考えてみるよ」


ラッターランドは楽しかったが、どう考えても頻繁に行くものでは無い事が分かったので当分もう行かないつもりだ。

来週は絶叫しない場所に行きたいと思う。

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