第416話 下級龍
「やったか?」
俺達の攻撃が全弾命中したので下級龍を仕留めたか?と思ったが前方にいる下級龍は完全に無傷だった。
「シル『鉄壁の乙女』を頼む!」
初手で5人の攻撃を全弾命中させたのに全くダメージを受けている様子がない。
特殊な防御スキルか?それとも単純に防御力が高いだけなのか?
もしかしたら遠距離攻撃に特殊な耐性を持っているのかも知れないが、とにかく初見のこの下級龍を観察しながら戦うしか無い。
「みんな、とにかく攻撃しない事にはどうしようもない。今度は時間差で攻撃してみよう。俺からいくから、タイミングを計って攻撃を頼む」
こちらの出方を窺っているのか下級龍も大きな動きは見せていないので、しっかりと狙ってバルザードの斬撃を飛ばすが、攻撃に動いた瞬間下級龍も素早く動いて斬撃が躱されてしまった。
「はやっ!」
大蛇のような風体にダックスフンドのような脚の短さなので、とても速く動ける様なフォルムでは無いのに異常に速いスピードでバルザードの斬撃を横方向に避けた。
「アイアンボール」
間髪入れずに、あいりさんが必殺の鉄球を放ったが、俺の攻撃同様に素早く動いて避けてしまった。
今度は目で動きを追う事ができたが、短い足が想像を超える速さで動き鉄球を完全に躱した。
漫画の様な素早い脚の動きで、その後の2人の攻撃も同様に躱してしまった。
防御力が高い上に回避能力も高いとは、この龍は防御特化型のモンスターなのか?
それなら遠距離からじっくり攻めるのが正解か?
そう思った瞬間今度はこちらに向けて猛然とダッシュして来たのでベルリアが魔核銃で迎撃するが、バレットが命中した瞬間に弾かれてしまった。
下級龍は5M程手前で急停止したと同時に大きく口を開いて火を吐いた。
所謂ファイアブレスを吐いてきた。
もちろん『鉄壁の乙女』はファイアブレスを遮断してくれているが、急激な温度変化までは防いでくれないので光のサークル内の温度が急激に上昇した。
「あっつ!」
熱いが、この距離なら外さない。俺は右手にドラグナーを取り狙いを定めて引き金を引いた。
「ドウッ」
放たれた青い弾丸は糸を引いて下級龍の首?の部分に命中してそのまま貫通した。
「ガアアアァア〜!」
やった。今度の攻撃は完全に効いた。単純に距離が近くなった事で威力も増したのか、それともドラグナーと言う名前の通り龍に対して特効があるの分からないがしっかりと貫通した。
ただ首に風穴を空ける事に成功したものの、まだ消失までは至っていない。
今度は止めをさす為に狙いを定めて再度ドラグナーの引き金を引いたが、今度は躱されてしまった。
「なっ!」
手負いのくせにこの距離で躱すか?
「みんな追撃を!」
ミクがスピットファイアで連射し、そのうちの1発が命中したが効いた感じが余りしない。
この下級龍ってあの赤いミノタウロスと同等以上にしか見えない。もしかしてこいつが裏ボスとかなのか?
「マイロード私が出ます。援護をお願いします」
ベルリアが光のサークルを飛び出して下級龍に向かって行く。
ベルリアに目をつけた下級龍が再びファイアブレスを放つべく口を開いた。
「カオリン『アイスサークル』を!」
カオリンが俺の声に反応して下級龍の目の前に氷の柱を出現させる。
ほぼ同時にファイアブレスが放たれて氷の柱が一気に溶けて小さくなっていくが、ベルリアが接近するまでの時間は十分に稼げた。
ベルリアが氷の影からそのままジャンプして久々の大技、回転しながらの2刀『アクセルブースト』を放った。
ベルリアの刀が龍の頭部にささり、回転が一瞬止まりかけたが、ベルリアが更に体重を乗せ力を込めてそのまま押し切って真っ二つにしてしまった。
飛び出しは無茶だったが流石はベルリアだ。あれ程の強度を誇っていた下級龍を文字通り2刀両断してしまった。
あとがき
今週金曜日にヤングチャンピオンコミックス モブから始まる探索英雄譚が発売になります。目印は殺虫剤を構えた海斗です。
よろしくお願いします。
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