第378話 ギルド

「海斗大丈夫だった?思いっきり飛んで行ってたけど」

「まあなんとか」

「本当に海斗さんが飛ぶ時はアニメみたいに飛んでいきますね。人類って飛べるのかもと思わせてくれるのです」


好きな事を言ってくれるが、やはり15階層の敵は強い。見かけは貯金箱だったが強かった。

金豚の消えた跡を見てみたが中身は変わらず普通の魔核が落ちているだけだった。流石にお金がざっくざくとはいかなかった。


「それじゃあ今日はこれで引き上げようか。俺明日ギルドに行って正式に依頼を受けとくよ」


俺達はそのまま15階層の入り口まで引き返してゲートで地上まで戻って解散した。

次の日になり俺は朝からギルドに向かった。


「おはようございます。約束通り昨日15階層に到達したので、正式に依頼を受けさせてもらいます」

「やはり流石ですね。今回の依頼ですが高木様のパーティを入れて全部で5組での集団戦となります」

「5組ですか」


5組と言う事は単純計算でも30人以上での戦闘となる。ダンジョンの中で30人以上が同時に戦う事をイメージしてみるが、大乱戦というか連携の取りようがない気がする。


「今週末の予定ですが、万全を期して2日がかりで行います。まず土曜日は隠しダンジョンの扉の前まで5パーティでお互いの連携を深めながら潜って頂き、日曜日にエリアボスにアタックして頂きます。ちなみにドロップアイテムにつきましては買取の上5パーティに均等配分させて頂きます」

「それで、エリアボスの情報なんですが……」

「それなのですがエリアボスは……………」


エリアボスの情報を聞いてギルドがパーティを集めた理由が分かった。

俺達も舐めてかかると痛い目を見そうなので、他の有力パーティの陰でしっかり頑張っていきたい。

ギルドでの用が済んだので今日はこの後、春香と待ち合わせしている。

明日からの学年末テストを前に急遽春香から連絡が入り、話した結果一緒に勉強する事になったのだ。

しかも勉強する場所は春香の家になってしまった。

小学生の頃一緒に遊んだ記憶はあるが家に行った記憶は無いので、おそらく人生初の春香の家にお邪魔する事になってしまった。

俺は行く前から既に緊張して来ている。

駅前に行くと既に春香が待っていたので、案内されながらそのまま一緒に春香の家まで向かう事となった。


「今日、俺家に行っても大丈夫だったのかな」

「うん、もちろんだよ。ママも楽しみに待ってるって」

「えっ………」


日曜日なのだから当たり前と言えば当たり前だがおばさんもいるのか。しかも楽しみにしてるって言ってくれてるけど何か粗相をしそうで不安になって来る。

しばらく歩くと春香の家に着いた。場所は知らなかったが、同じ小学校区内なので思いの外俺の家に近く、可愛い洋風な家だった。


「それじゃあ入って」

「お邪魔します」


春香に連れられて1階のリビングにお邪魔すると、そこには春香のママ………

とパパが揃って椅子に座っていた。


「あ、あのっ、お邪魔します。春香さんのクラスメイトの高木海斗ですっ!」

「あら海斗くんいらっしゃい。中学以来かしら。この前お母さんとは偶然会ってお話ししたのよ」

「はいっ、伺っています」

「私は小学生の時にあった事があるかな」

「はいっ、運動会でお見かけしたことがあります」

「今日は一緒に勉強するそうだね。春香とも仲良くしてくれている様で」

「はい。仲良くさせていただいております」

「そう言えば海斗くんこの前の写真見せてもらったわよ」

「写真ですか?」

「春香を撮った写真よ。本当によく撮れていたわ」

「あ、ああっ、あれですか、ありがとうございます」


春香………両親がいるなら先に言っておいて欲しかった。

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