第357話 エクスプロージョン

「え…………なんで?」


俺の考えていた超魔法では無かったが、カオリンの『ファイアボルト』を遥かに超える威力の爆発が起きた。

『ウォーターキューブ』と『ファイアボルト』をぶつけて何で爆発が起きたんだ?


「これは……水蒸気爆発か?」

「水蒸気爆発ですか?」

「そうだ。大量の水に超高温の炎雷が衝突した事で水蒸気爆発が起こったんだろう」


流石は大学生。あいりさんが説明してくれて初めて気がついたが、これはまさに水蒸気爆発だ。

名前をきけば意味はわかるが実際に爆発したのを見るのは初めてだ。

水って本当に爆発するんだ……

しかも威力が半端では無い。下手をするとシルの『神の雷撃』に近い威力があるかも知れない。

手元で融合していたらと考えたら背筋に冷たい汗が流れていた。


「海斗さん……これ……どうしましょう」

「ああ……思ってたのとはちょっと違うけど『ウォーターキューブ』の有効活用には違いないから良いんじゃないかな………」

「これ使い所が難しく無いですか?」

「まあ、とにかく自分達から離れた位置で使おうか」


強力ではあるが魔法2発分のMPを消費するのと『ファイアボルト』の着弾までタイムラグが発生するので、上手く使いこなす必要がありそうだ。

その後ゴブリン相手には完全にオーバーキルだったので『ゲートキーパー』を使い14階層まで向かう事にした。


「ご主人様、言いにくいのですがひとつお忘れでは無いでしょうか?」

「え?何を?」

「やはりお忘れだったのですね………私も新しいスキルを身につけたのです」

「あっ……も、もちろん覚えてるよ。いやだな〜当たり前じゃ無いか。ははは」

「本当ですか?」

「あ、ああ、本当だよ。あれだよ泉だよな」

「そうです。何の泉でしょうか?」

「泉は泉だよな……………ごめん忘れてた」

「私はショックです『楽園の泉』です」

「ごめん、いっぺんに色々ありすぎて頭がおかしくなってたのかもしれない。ごめん」


完全に忘れてしまっていた。カオリンの『ウォーターキューブ』や俺の『ドラグナー』極め付けに因果律なんていう運命ワード迄飛び出したので頭が既に一杯でシルのスキル『楽園の泉』の事まで頭が働いていなかった。悪い事をしてしまったが『楽園の泉』夢にまで見た召喚スキル。是非試してみたい!


「それじゃあ、試しに使ってみてもらえるか?」

「わかりました。いきますよ。我が忠実なる眷属よここに顕現せよ『楽園の泉』」


カッコいい聖句と共にスキルを発動したシルの眼前に小さな魔法陣が現れ淡い光と共に眷属が召喚された。


「シルフィー様、召喚に応じ参じました。ルシールです」


そこに現れたのは、小人?の天使だった。


「シル、これって天使?何か小さく無いか?」

「恐らく私のレベルが低いので、このサイズになってしまったのかもしれません」


大体大きさは20CMぐらいだろうか。クレーンゲームとかで取れるフィギュアと同じぐらいの大きさだ。

見た目は女の子だ。よく見ると結構可愛いかもしれないが、この大きさで戦えるのか?


「シル、ルシールって戦えるのか?」

「多分、大丈夫だと思います」

「もちろん戦えますよ。任せてください」


本当か?このサイズだとモンスターに一瞬でやられてしまいそうな気がする。


「ルシールって天使?なのか?」

「もちろん天使です。よろしくお願いします」


やはり天使であっているらしい。俺の天使のイメージ通りの白いミニスカートのワンピースの様な服を着ている。

しかも結構胸が大きい気がする。いくら大きくてもこのサイズでは小豆ぐらいの大きさしか無いので残念だ。


「それじゃあ、この階層のモンスターと一緒に戦ってもらおうか」

「わかりました」


それからモンスターを探して奥に歩き始めたが、歩いているうちに突然目の前を飛んでいたルシールが消えてしまった。


「あれ?どこに行ったんだ?」

「申し訳ありません。今の私では2分程度が召喚の限界の様です」


シルの新しいスキルには制限時間があるらしい。

次はモンスターと遭遇してから召喚してもらおうと思う。


あとがき

モブから3をよろしくお願いします。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る