第318話 1階層で

俺は放課後に1階層でスライムを狩っている。

昨日はマンドラゴラの叫び声の影響か、かなり疲れてしまったようでご飯を食べた後にすぐ眠ってしまった。


「シルとルシェはあのマンドラゴラの叫び声を聞いても何とも無かったのか?」

「そうですね、確かに不快でうるさい声でしたが、それ以外は何も」

「当たり前だろ。わたしがあんな低級なスキルでどうにかなるわけがないだろ」

「でもベルリアはしっかりダメだった所を見ると、悪魔だから大丈夫だったって訳じゃ無いよな」

「ベルリアは修行が足りないんだ。修行が」

「はっ、申し訳ございません。返す言葉もありません」


やはりこの2人は特別にレジストしたとかそんな感じでも無い。

どちらかと言うと何とも無かった感じだ。種族の違いによるものでも無さそうだ。

1番可能性が高いのはBPの違いだろうか?


「やっぱり精神攻撃に耐えるにはレベルアップするしか無いのかな」

「そうですね。レベルアップして強くなればそれだけダメージを受ける確率は減ると思います」

「精神を鍛えるんだよ。精神の鍛え方が足りないんだ。まずその甘々な根性から叩き直した方が良いんじゃ無いか?ドリュアスにも魅了されたし」

「そ、それは俺じゃなくても魅了されるって。強力なスキルだったんだよ」

「女の胸ばっかり見てるから魅了なんかされるんだよ。わたしは全然されなかったぞ」

「いや、胸は関係ないだろ。瞳を見たら影響を受けたんだから、胸じゃない」


胸は関係ない、ドリュアスは確かに胸があった気もするが、マンドラゴラは胸など無かった。マンドラゴラの性別も分からず仕舞いなので、それも関係無い。

精神を鍛えるって言われても滝行でもすればいいのか?それともお寺にでも籠もればスキル耐性がつくだろうか?


「ベルリアは精神攻撃には強そうだと思ったんだけどな〜。もしかしたらドリュアスにも魅了されたりするんじゃ無いか?」

「マイロードそれは有り得ません。私が敵に魅了されるなどと言う事がある筈が無いではないですか」

「俺もそう思ってたんだけどな〜。意外に精神攻撃に弱いのが分かっちゃったからな。お前がやられちゃうと回復役が居なくなって全滅も有り得るんだよ。何とか精神を鍛えてくれよ」

「それはもちろんです。頑張ります」


いつもの頑張りますだが、あまり期待はできなさそうだ。

だが冗談抜きでベルリアが倒れるとやばい。


「念の為に、シルとルシェに低級ポーションを1本ずつ渡しておくな。ベルリアが倒れたらまずベルリアに使ってくれ。『ダークキュア』が使えれば何とかなるだろ。もう1本俺も持ってるから危ない時は迷わず使ってくれ」

「え〜ベルリアに使うのか?勿体無くないか?」

「姫……頑張ります」

「まあ、危ないメンバーがいたら臨機応変に使ってくれ」


今すぐに出来る対策はこれぐらいのものだな。後はドリュアスとは目を合わせない。そしてマンドラゴラは抜かない。

その後スライムを狩って回っているが、レベルアップに伴うBPの増加で殺虫剤ブレスも若干だがパワーアップしている。

流石にレベル20まで上昇するとスライム相手には自身の能力の上昇を実感できる。

あっさり倒せて自分が無敵になったような錯覚と、さくっと倒せる爽快感とを同時に感じる事が出来る。

13階層はそれほど敵の数が多い訳では無いので魔核の回収ペースは12階層とくらべても落ちており、活動に支障をきたさないようにその分平日の1階層でしっかりとカバーしておきたい。

移動の合間を縫ってベルリアとの訓練も続けているが、レベルアップによりBPはかなり近づいて来ているにも関わらず全く歯が立たない。

精神的な強さもだが、やはりBPだけで強さを図る事はできないと言う事だろう。


あとがき

HJ文庫モブから3の発売日が正式に決定しました!

12月1日です!

よろしくお願いします。

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