第299話 13階層の大木
俺は今13階層を探索している。
メンバーの活躍で地中に潜った木の根のモンスターを倒す事が出来た。
「ミク、木のモンスターといえばトレントだよな。葉っぱとか木の根のモンスターもトレントなのかな」
「たぶんそうじゃ無い?大きな括りでトレントで細いところでグラストレントとかそんな名前があるのかもね」
「グラストレントか……聞いた事ないし、なんか割れそうだな」
「例えよ例え!」
まあ、これまでの敵を見てもこの階層は植物系モンスター中心なのは間違いない。
心配した精神系の攻撃もあれから食らっていないので心配しすぎたかもしれない。気にしても仕方がないのでどんどん進む事にする。
ダンジョンはかなり入り組んでいるので、この階層まで来ると他の探索者と出食わす事はほとんど無い。
戦闘のたびに思う事だが、サーバントのいない他の探索者はどうやって敵モンスターに対処しているのだろうか?真司と隼人を見ているとダンジョンに適応して独自進化している様な気がするので、そういうダンジョンに適応出来た探索者だけが残っていってるのかもしれない。
「この階層はそれ程熱くも無いし過ごしやすいよな」
「そうですね。汗もそれほどかかないしいい感じなのです」
「カオリンって休みの日は家族と過ごしたりゲームしたりしてるんだっけ」
「そうです。家族とお買い物する事が多いのです」
「家族と買い物か。俺は普段ダンジョンに潜っているせいも有るけど中学生になったぐらいから親とは買い物に行かなくなったなあ」
「男の子はそうなのかもしれませんね。でも家族と一緒も楽しいのですよ」
「そう言うものかな」
「海斗さん、家族とは余り仲が良く無いのですか?」
「いや普通だと思うけど、父親とはほとんど話さないな〜」
「きっとお父さんも寂しがっていますよ」
話しをしていると年下のカオリンの方が大人な気がする。見かけはともかく女の子の方が精神年齢が高いのかもしれない。
歩いているとそこら中に雑草が生えているので、通り過ぎる度に一瞬草トレントでは無いかと身構えてしまうがシルが何も言ってこないのでどんどん進んで行く。
しばらく進むと若干だが景色が変わってきた。今まで完全に足元は土だったのが、芝生の様な草が生えている部分が増えて来て緑色の色彩が強くなってきている。
そして驚いた事に虫や鳥がいる。
「シル、あれってモンスターなのか?」
「いえ、モンスターでは無く普通の生物ですよ」
今までダンジョンにはモンスター以外の生物は居ないのかと思っていたが、このエリアには普通に生物がいる。
また一つダンジョンの不思議を目の当たりにした気分だ。
「シルとルシェってモンスターじゃなくて普通の虫って大丈夫なのか?」
「種類によります」
「お前馬鹿じゃ無いのか」
2人からは厳しい返事が返って来たので、恐らくダメなのだろう。
モンスターさえいなければ絶好のお散歩コースの様だ。
最近お散歩できる様な所も減って来ているので、有効活用できないものかとふと考えてしまった。
パーティメンバーで気分良くお散歩コースを進んでいるとシルが
「ご主人様、モンスターです。今度は1体だけのようです」
1体だけとは珍しいな。スライムとゴブリンは単体で出る事が多いが、この階層で単体は初めてだ。
「みんな1体だから問題無いとは思うけど、一応注意しながら進もうか」
そこから全員で50mほど進んだ所で、俺達は最初から敵モンスターを目視していた事に気がついた。
進んだ先にいたのは50m手前からずっと見えていた目印の様な大きな木だった。
近づくと10m級の大きな木にしっかりと目と口が付いていた。
確かにこれも木のモンスターなのでトレントなのだろう。
トレントは、本当に幅広い種族の集まりなのかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます