第277話 2本の剣

俺は今おっさんの店で剣の購入を検討している。


「海斗、100万円の予算だとブロードソードの80万円とバスタードソードの25万円の2本しかないね。頑張って120万円のバスタードソードを交渉してみようか?」


「う〜ん。迷うな〜。正直前買った100万円のバスタードソードと、120万円のバスタードソードは、それ程変わらないと思うんだよな〜。折れちゃったし、どうせなら違うやつの方がいいかな」


「それじゃあ、80万円のブロードソードか150万円のグレートソードだけど、150万円は高すぎない?」


「どうしようかな。予算内だとブロードソード一択だけどな〜」


「私には、剣の良し悪しは分からないから海斗がいいと思う方を選んで。私は交渉頑張るね」


ブロードソードも悪くはないけどバスタードソードで折れたのにブロードソードが折れないとも思えない。剣の無くなったベルリアは、正直戦力外と化していた。真司に剣を借りなければヤバかった。

よくよく考えてみると真司借りた双剣の2刀流でかなりいけてた気がする。

最悪一方が折れても2本あればなんとかなりそうな気がする。


「春香、考えたんだけど、25万円のバスタードソードと80万円のブロードソードの2本にしようと思うんだけど」


「えっ?2本も買うの?2本とも使うの?」


「うん。折れたら武器が無くなってしまうから2刀流でもいいかなと思って」


「すごいね。あんなに重そうな剣を2本も使えるんだね」


「ああ、言ってなかったんだけど、俺が使うんじゃないんだよ」


「えっ?それじゃあ誰が使うの?」


「実は、学校でも言ってたんだけど俺のサーバント用なんだよ」


「あのサポートしてくれるって言う使い魔の事?使い魔って剣が使えるの?」


「サーバントにも色々種類があって、俺のサーバントは剣を使うのが得意なんだよ」


「そうなんだね。私使い魔って言うから、小動物みたいなのをイメージしてたよ」


「俺のサーバントは人型なんだよ。ベルリアっいう名前で小さな子供ぐらいの男の子だけど、それなりに頼りになる奴なんだよ。俺の剣の師匠だし」


「すごいね〜。サーバントってそんな感じなんだね。それじゃあその子の為に買ってあげるんだね」


「そう。なぜか最初から武器を一切持ってなかったんだ」


「そうなんだね。じゃあサーバントってそう言う物なのかもしれないね」


いや……シルもルシェも自前の武器を持っているから、ベルリアが特殊だと思う。


「それじゃあ、あとは私に任せてね」


「はい。お願いします」


「おに〜さん。ちょっといいですか?」


「ようやく、話し合いが終わったのか。色々作戦練っても安くなんね〜ぞ!」


「いえ質問です。25万円のバスタードソードってこの前B級品だって言ってたと思うんですけど、すぐ折れたりしますか?」


「いやB品って言っても、そこまでの粗悪品は売りもんになんね〜よ。若干耐久性や切れ味は劣るが、拘らなければ使い物にはなるぜ」


「そうなんですね。多分そのブロードソードとバスタードソードは前回と同じ物ですよね」


「そうだったかな。そこまで覚えてね〜よ」


「値段が前に聞いたのと同じなので、同じ物だと思うんですよね。多分B級品っていうのもあって中々難しいのかな〜と思うんです」


「お嬢ちゃんよく覚えてるな。言われてみるとそうかもしれね〜な」


「そうでしょ〜。それでお兄さんに相談なんですけど、その残ってた2本とも買うので安くして欲しいな〜と思って」


「あっ?2本買うのか?2本はいらね〜だろ」


「それが2刀流で2本使いたいみたいなんです」


「おいっ。坊主、2刀流だ?ちょっとかぶれすぎじゃないのか?お前の体型でこの2本を両手で扱うのは無理だろ。悪い事は言わね〜からやめとけって」


「ありがとうございます。でも大丈夫なんです」


「こう言ってるので、お願いしたいんですよね。2本で105万円じゃないですか。そこを90万円ぐらいにならないかなぁと思うんです」


「90万?無理無理、お嬢ちゃん無茶いっちゃダメだぞ。前も言ったと思うけど量産される様なもんじゃね〜から安くならねんだよ」


「それじゃあいくらだったら大丈夫ですか?」


「お嬢ちゃん可愛い顔してえげつね〜な。それじゃあ97万5000円でどうだ?」


「値段はそれで大丈夫なので、何かおまけでつけてくれたりしますか?」


「お嬢ちゃん〜。本当にしっかりしてるな。それじゃあおまけで剣に塗る精油をつけてやるよ」


「いつもありがとうございます。これからもよろしくお願いしますね」


「坊主。お嬢ちゃんに感謝しろよ。お前にはもったいね〜よ」


こうして俺は、高性能マントとベルリア用にブロードソードとB品のバスタードソードを手に入れることが出来た。


あとがき

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