第267話 フラグの行方

俺は今決戦を迎えようとしている。

隼人と真司のフラグのせいなのか、7体の上位モンスターに追い詰められようとしている。

何がなんでも全員でこの窮地を乗り越えて見せる。


「シル、ルシェ、とにかく目の前の敵を倒してくれ。真司と隼人はサポートに徹してくれよ。ヤバかったら全力で逃げろ!ベルリアも頼んだぞ」


覚悟を決めて俺とベルリアが前衛に立ち、敵モンスターを待ち構える。

すぐに敵が現れたが、先程の氷の刃を背負った亀が1体、銀色の毛並みの大型の虎が2体、岩で覆われた様な

鎧を纏った、蜥蜴型のモンスターが2体、羽から炎を吹き上げている鳥型が2体だ。

この組み合わせは、何となくゲームとかに出てくる四聖獣っぽい。残念ながら蜥蜴はドラゴンぽくはないし、どのモンスターも四聖獣の遠い親戚の集まりの様だ。

ただ一つ言えるのは、俺とベルリアには相性が悪い相手が多そうだ。


「ウォーターボール」


俺は再び魔氷剣を発動して身構える。

ベルリアは相性の悪い亀型は避け虎型に向かう。俺もモンスターの中で速度に勝る、虎型と鳥型にターゲットを絞り、速度の遅い、亀型と蜥蜴型は後衛に任せる。


虎型は獣タイプだけあって素早い。

見た目で言うとシルバータイガーといった所だが大型の虎は単純に怖い。

迫ってくるシルバータイガーに対して魔氷剣の斬撃を飛ばすが、かわされてしまった。

ゆっくり近付いて来ている蜥蜴型に『神の雷撃』が降り注ぐが、かなり装甲に損傷が見られるものの、まだ動いている。岩の装甲と雷撃の相性が良くないのかもしれないが岩に対しては獄炎も同じく効果が半減するかもしれない。

とにかく俺は虎型を倒さなければならないがかなり素早い。

後方から真司が魔核銃を放って、足止めを試みるが普通に避けられた。

俺が攻撃に掛かろうとした所を今度は鳥型が燃え盛る羽を飛ばして来た。

このままではいずれ食らってしまう。


「シル、ルシェ、先に虎型と鳥型を頼む。ベルリア、俺たちは蜥蜴型にターゲットを変えるぞ。真司と隼人は鳥型を牽制してくれ」


ターゲットを変える為の時間を真司が魔核銃を連射して稼ぐ。

隼人は『必中投撃』を駆使して鳥型を攻撃している。スキルのおかげで命中はしているが、釘では威力が足りない様で、そこまでダメージを与えている感じではない。


俺は蜥蜴型に近づいて斬りつけようとするが蜥蜴が口を開いた。

ブレスか?と思ったが飛んできたのは唾液だった。慌てて左方向に避けるが、飛沫がマントにかかってしまった。飛沫がかかった部分から煙が上がっている。火か?と思ったがよく見ると、マントに細かい穴が空いている。どうやら溶解液の様だ。

以前この特殊素材のマントは炎から俺を守ってくれたが、残念ながらこのレベルの溶解液には耐性が薄いらしい。

ショックだ。ショックだがショックを受けている時間は無い。そのまま突っ込んで蜥蜴型の頭を落とそうと魔氷剣を叩き込むが、完全には切断に至らない。


「硬いっ!」


今度は切断のイメージを強く持ち再度同じ場所に切り込んで首を落としにかかるが、さすがに危機を感じた蜥蜴が大暴れして、溶解液を撒き散らす。

横目でベルリアの方に目をやると同じく蜥蜴型に斬りかかり『アクセルブースト』を発動している。


「パキィ〜ン!」


「えっ!?」


高音の金属音を発してベルリアのバスタードソードが根元から折れてしまった。

やばいっ!


「ベルリア下がれ!!」


猶予が無い事を悟った俺は、ベルリアに声を掛けて直ぐに自分の前で暴れている蜥蜴にとどめを刺すべく踏み込む。

近距離から魔氷剣の斬撃を放ち、着弾の瞬間を狙い先程刃を食い込ませた箇所を狙って魔氷剣を打ち下ろし、どうにか首を落とすことに成功した。

現状を確認するが、虎型と鳥型は1体ずつ減っている。

こちらは、俺のマントが損傷、そしてベルリアの100万円のバスタードソードが完全にお亡くなりになってしまった。

ショックはでかいが今はそれどころではないので、なんとか戦闘に集中する。

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