第248話 八階層エリア

俺は今8階層エリアに来ている。

このエリアに着くまで張り切っていたベルリアの元気がないのが少し気になるが、まあ放って置いてもすぐ元気になるだろう。

ここにくる前に歩きながら昼ごはんを済ませておいた。

今日の昼ごはんはコンビニのたらこおにぎりと焼きそばパンだ。

俺のダンジョンでの食事はほとんどの場合、これにサンドウィッチを加えたものをローテーションで食べている。やはりおにぎりとパンの組み合わせがたまらなく美味い。


「ご主人様。敵モンスターです。4体いますがやはり高速移動しています。注意してください」


「よし、じゃあ真司と俺とベルリアで前衛、残りは後衛を頼む。隼人も攻撃できるタイミングが有ればいつでも攻撃してくれ」


しばらく待っていると軽く地面が振動している気がする。

なんだ?地震か?

更に待っていると結構なスピードで現れたのは角の生えたトロールだった。

トロールなのに素早く移動している。

俺が戦った事があるトロールは、パワーはあるものの基本的に動きが鈍いので的にしやすかった。

それがこの角の生えたトロールはその欠点が消えてしまっている。

4体いるので1体は隼人に任せる。


「みんな注意してくれ。スピードタイプのトロールだ。パワーもあると思うから絶対に攻撃はくらうな!隼人一体任せたぞ」


走って移動しているのを見ると恐らく俺の全速力よりも早い。

後方に通さないように前衛の3人で壁となる。

目前に迫ってきたトロールの武器は大型の棍棒だ。

3体が体当たり気味に俺たちに向かってくる。

俺は流石にこいつらと正面衝突する気はないのでバルザードの斬撃をトロールの足下に飛ばす。

トロールは足下を見えない斬撃で切断されて、前のめりに思いっきりすっ転んだ。

そのまま、前方に走ってトロールの背中にバルザードを突き立てて消滅させた。

ベルリアと真司は正面から迎え撃っていた。

ベルリアはトロールの重量級の一撃をバスタードソードで器用にいなしながら『アクセルブースト』を使用してトロールの胴体を真っ二つにしてしまった。

真司は、信じられない事に正面からトロールの一撃を受け止めていた。

いくらパワータイプとは言ってもトロールと人間ではサイズが違う。どれだけパワーにステータスが偏ってるんだ?


「おおおおおぉお〜」


変な雄叫びをあげながら二刀の刃で応戦している。

当然トロールの武器よりも一本多いので、かなりの手傷を負わせていっている。

これなら問題なさそうだ。

後方へ向かったもう一体のトロールに目をやったが、隼人の槍が腹部に刺さってはいるものの、まだ健在で3人の元に向かっていた。


「うあああぁあ〜」


手伝おうかと身構えたが、シルが神槍を構えてそのまま迎え撃って串刺しにしてしまった。

もちろん神槍の力を発動せずに通常攻撃で片をつけてしまった。

流石はシル。格が違うが隼人はメイン武器の槍を手放した状態で大型のトロールが突進してきたのでかなり焦っていたようだ。

その後真司の方に目を向けたが、既に勝負は決しておりトロールは消滅していた。


「隼人、槍を手放した後に敵が向かってきたら焦らずにナイフとか釘とかで足止めすればいいよ。シルとルシェがいるから絶対に大丈夫だから。それとできれば細身の剣か何かをサブウエポンで腰にでも下げてた方がいいんじゃないか?」


「そうだよな〜。今までは魔核銃でカバーしてたけどトロールぐらい大型のが突進してきたら魔核銃じゃ厳しいもんな。さっきは焦って声が出ちゃったよ。ははっ」


まあ、いつものダンジョンには高速のトロールなんかいなかったので対応が後手になるのは仕方がない。

この後の戦闘も慌てずにしっかり対応をしていきたい。


あとがき

現在モブから始まる探索英雄譚2の作製に取り掛かっていますが、スケジュールがかなり押しています。1巻をまだの方は2巻に備えて是非、新刊コーナーで購入お願いします!やる気が出ます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る