第242話 初めてのギルド

俺は今ギルドに来ている。

いつものギルドではなく初めての隣県ギルドだ。

内部の作りはいつものギルドと大差無いが、当然日番谷さんをはじめとするいつものスタッフはいない。

中に入ってから、イベント参加者である事を伝えて、真司と隼人は事前に送っていた装備を受け取って準備をした。


「おい、お前らそれ何?」


「いや何ってなあ」


「うん、ただのマントだけどな」


「先週までそんなの装備してなかったよな」


「先週海斗と一緒に潜って、やっぱり形から入るのも大事かなと思って2人で買い揃えたんだ」


「海斗が黒だったから、俺らは茶色と灰色にしといたから」


「しといたからって・・・」


「流石に鎧は無理だったからマントだけな」


「3人お揃いだな」


「お揃いって、これってどうなんだ」


黒、茶、灰色のマントを着た17歳の男子探索者が3名。

客観的に見て、おかしい。3人集まると流石にこれって厨二感が強すぎないか?

今更どうしようもないので、今回の探索はこれで通すしかない。

集合時間の10時まで待っていると順番に今回のメンバーが集まってきた。

パーティ単位の参加なので集まってくるとすぐにわかった。

今回の参加パーティは俺達を含めて全部で6組の25名だった。

年齢を見る限り、俺達は若い部類に入っているような気がするが、思った通り男性比率が高く、25名中20名が男性だった。

そして女性5名も女性だけのパーティは無く全員が男性パーティと一緒だった。


「終わった・・・」


「儚い夢だった・・・」


真司と隼人があからさまに落胆しているのが見て取れる。


「まあ、探索頑張ろうな」


「ああ」


「うん」


「それでは今回お集まりの皆様にご説明させていただきます。今回の遠征では皆様にマップをお渡しさせて

頂きます。普段探索されているダンジョンとは全く違う造りとなっておりますので、マップにしたがって無理のない範囲で探索をお願いします」


「おぃっ、真司あの人可愛くないか?」


「ああ良い感じだよな、隼人。今日から毎日会えるよな」


「楽しみだな」


「ああ頑張ろうな」


この2人は一体何を頑張るんだ。さっきまであれだけ落ち込んでいたのに現金なものだ。

一通りの説明を受けたので早速ダンジョンに潜る事にするが入り口までは係の人に誘導されて25名全員で向かう事となった。

ワクワクしながらダンジョンに踏み入れたが、いつもとは違う風景がそこに広がっていた。

このダンジョンは2層しか無い。いつものダンジョンは下に階層が広がっているが、このダンジョンは横に広がっている。

ワンフロアがエリアによって階層分けされている。

今回は第1層を探索する事となるが、大凡のマップでの階層分けを見ながら進む事にする。

道中も初見のモンスターが出現する可能性が高いので最初からサーバントを召喚しておく。


「シルフィー召喚。ルシェリア召喚。ベルリア召喚。  みんな初めてのダンジョンだから頼んだぞ」


「シルフィーさん、ルシェリアさんよろしくお願いします」


「俺達も頑張るんで一緒にお願いします」


「ここは明るいですね。最近暗いところが多かったのでよかったです」


「なんか、ダンジョンぽく無いな。なんか広いし壁もいつもより少ないぞ」


「マイロード、私も精一杯頑張ります」


せっかくの新たなダンジョンなので時間がもったいないと思い、すぐに全員で進む事にした。


「おぃ、あのパーティってもしかして・・・」


「あれって、メンバー構成がちょっと違うけどあれだよね」


「幼いサーバント3体とあの黒い装備間違いないだろ」


「俺、噂だけで、都市伝説だと思ってたよ」


「あれが噂の『超絶リア充黒い彗星』か」


「本当に普通だな。噂通り装備は普通じゃなかったけど」


「サーバント、可愛かったな。うらやましい・・・」


俺の知らないところでこんな話しが展開されていたようだが俺が知る由もなかった。


あとがき

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