第206話 鑑定
俺は今ギルドでドロップアイテムを鑑定してもらいに来ている。
「鑑定して欲しいのはこの鎧一式とこの小さな銃の2点です。」
「それでは2点で6万円頂戴しますがよろしいですか?」
「はい、お願いします。」
日番谷さんが鎧と銃を持って奥に下がって行った。
「海斗、超絶リア充『黒い彗星』って凄い2つ名ね。2つ名ってこんな感じでつくのね。なんか目の当たりにすると不思議な感じね。」
「いや、俺が1番不思議な感じだよ。自分の知らない所で違う自分が勝手に出来上がったような。そもそも超絶リア充って誰が考えたんだよとは思う。」
「そうですよね。世の中って不思議な事がまだまだいっぱいありますね。」
俺の謂れの無い2つ名談義で盛り上がっていると日番谷さんが、鎧と銃を持って帰って来た。
「鑑定結果はこちらです。どちらも非常に有用なアイテムだと思いますので、ご自分達で使われる事をお勧めします。」
そう言って鑑定用紙を2枚渡してくれた。
魔術鎧ナイトブリンガー・・・軽量化の術式が組み込まれた鎧。魔力を消費する事で僅かに敵意を持つ相手からの認識を阻害することが出来る。
これは、当たりだ。思った通り、軽量化されている上に、黒色なだけあって特殊能力を備えている。認識阻害がどの程度なのかは分からないが、俺が使用すれば今の戦闘スタイルで更に一段上に行けるかもしれない。今の背後に回り込んで仕留めるスタイルにこの鎧の能力が加われば完全にアサシンスタイルが完成するかもしれない。
ただこの黒い鎧はアサシンというより暗黒騎士っぽい。
そしてもう一枚の鑑定書には
魔法銃 スピットファイア・・・魔力を消費して小型のファイアボールを発射することが出来る。
これも大当たりだろう。小型とはいえ、ファイアボールを撃てる銃とは凄い。魔法が使えない者からすれば垂涎の一品に違いない。
「みんな、この鎧なんだけど俺が貰っても良いかな。」
「当たり前じゃない。海斗以外サイズが合わないじゃ無い。」
「そうだな。女性が身につけるにはちょっと厳つすぎるな。」
「海斗さんの2つ名にぴったりなのです。オーダーメイドみたいですよ。」
「そうかな。じゃあ有り難く使わせてもらうよ。それとこの魔法銃なんだけどミクが使うのがいいと思うんだけど。」
「私もそれが良いと思う。現状、直接的な攻撃力が1番低いのがミクだからな。魔核銃と2丁拳銃でいいんじゃないか。」
「私もそれが良いと思うのです。」
「それじゃあ、この魔法銃は私が使ってみるわね。今までみんなの力になれない事も多かったから、これで少しは役に立てると良いけど。」
「今でも十分役に立ってるから、そんな事気にするなって。それとみんなに相談があるんだけど。」
「相談?なんだ?」
「この鎧って大きいじゃ無いですか。とてもじゃ無いけど袋とかで持ち運べそうに無いんですよね。なので移動する時は着用して歩かないといけないんですけど、流石にこれを着用して街中を歩き回るのは抵抗感がありまして。何かいい方法ないですかね。今日もここまで着て来たんですけど、注目度が高すぎて辛いです。」
「探索者が装備をつけたまま歩いているのもたまに見かけるから大丈夫じゃないですか?」
「いや、流石にこんな鎧を着た人は見かけた事ないな。コスプレの人ぐらいじゃないか?俺はコスプレの趣味は残念ながら無いんだよね。」
「いっその事これを機会にデビューするのも有りじゃないか?」
「無しです。」
「真面目な話をすると、大きな口のマジックバッグを買うか、ダンジョンの近くにあるトランクルームを借りるしか無いんじゃない?」
「マジックバッグは論外だけど、トランクルームなんかあるの?」
「知らなかったの?結構使ってる探索者は多いわよ。小さめのスペースなら月5000円ぐらいから借りれるみたいよ。」
「それいいな。早速調べてみるよ。」
俺はその日のうちにトランクルームを契約したが、道中しっかり目立ってしまった。
これからは、現地で着替えれば良いので安心だ。
あとがき
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