第185話 隠しダンジョン

俺は今11階層で足下を眺めている。


「シル、任せてくれって言ってもな。どうするんだよ。」


「ご主人様そこを退いてください。『我が敵を穿て神槍ラジュネイト』」


シルが足下に向かって神槍の一撃をぶっ放すと、足下の砂がクレーターのように吹き飛んで無くなり、石の床のようなものが出現した。

恐る恐る、床に降りてみるがやはり扉のようなものは見当たらない。


「シル、入口っぽいのはないけど、この中に何かあるのか?」


「はっきりとはわかりませんが、おそらくこの床の下に新たなダンジョンがあると思われます。」


「そうかどうしようかな。入口ってどこかにあるのかもしれないけど、探して回ることもできないしな。」


「ご主人様、問題ありません。お任せください。」


『我が敵を穿て神槍ラジュネイト』


「ドガガガガーン」


シルがまた神槍の一撃を床にぶっ放した。


「ご主人様、問題ありませんでしたね。」


床には、ぽっかり大きな穴が開いているが、これって問題ないのか?

器物損壊とかで賠償請求とかされないよな。黙っておけば大丈夫か?

内心焦ってしまったので、メンバーに視線を向けるが、3人ともにスッと目線を逸らされてしまった・・・


「か、海斗。もう開いてしまった穴は塞がらないんだから。ね。しょうがないでしょ。先に進んでみる?」


「でもこれ進んで穴が塞がったら出れなくなったりしないのかな。」


「ご主人様。問題ありません。塞がってもまた穴を開けるだけですので大丈夫です。」


まあ、シルなら問題ないだろうな。


「せっかくだから行ってみようか。前回の隠しダンジョンはレアモンスターの強力なのが出現したから気をつけた方がいいな。」


「ちょっと待ってください。海斗さんは以前も隠しダンジョンを攻略したことがあるのですか?」


「ああ大分前になるけど5階層で隠しダンジョンを発見して攻略した事があるんだよ。」


「あの時の隠しダンジョン攻略したのって海斗さんだったのですか?ちょっと噂になってましたよね。」


「そうだったかな。とりあえずエリアボスっぽいのが出てきて死にかけたから今回も要注意だ。でも結構いい魔核が手に入って進学の費用が稼げたんだよ。」


全員で床の穴に潜ることにしたが穴から下を覗くとそれなりに高さがあったので、床の端にぶら下がりながら思い切って飛び降りた。

飛び降りた床には砂は無く全体に石造りになっているようだ。

飛び降りてから気がついたが、これって帰りはどうやって上がればいいんだろう?降りれても自力で登るのは無理だな。


やばい・・・


もう飛び降りてしまった以上、今考えても仕方がないので一旦思考をストップさせることにした。もしかしたら都合よく先に出口があるかもしれないしな。

程なく全員が穴から降りてきたので周囲を見回すとかなり薄暗いがしっかりとダンジョンの通路が存在しているようだ。


「みんな、慎重に進もう。前回の時はトラップが結構あって俺死にかけたんだよ。矢とかも滅茶苦茶痛かったけど、特に電撃のトラップは地獄に落ちかけたんだよ。ベルリア先頭に立ってくれるか?飛んでくる矢とか前方には注意してくれ。特にルシェ、お前が罠にかかりまくったせいで俺が死にかけたんだから今回は本当に注意してくれよ。」


「わかってるって。大丈夫だよ。」


「任せてください。私に矢は効きません。しっかり役目を果たします。」


「頼んだぞ。」


とりあえずシルの探知能力をあてにしながら先に進むことにしたが並びはベルリア、俺、シル、ルシェ、3人、最後尾にスナッチで行くことにした。

前回は罠に対しての耐性が全くなかったが今回はベルリアがいるので、かなり有利に進めることができるのではないだろうか。

とりあえずみんなの安全に最大限気をつけながら慎重に進んでいこう。

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