第156話 剣
俺は今ダンジョンマートで買い物をしている。
靴とマントを買ったので次は帽子を考えている。
涼しくなる帽子を探してみたが、超小型エアコン付きの帽子は無く、小型ファン付きの帽子を発見した。
普通の帽子タイプと、ヘルメットタイプを発見したが、防御力を考えるとヘルメット一択だろう。
試しにかぶって、ファンを動かしてみる。電池式のようだが室内で使うとかなり涼しい。
「春香、これにしようと思うんだけどどうかな。」
「う〜ん。悪くはないんだけど、探検隊かなにかの人みたいだね。普通の帽子じゃダメなのかな。」
「太陽が出ているわけじゃないから、暑さ対策なんだよね。普通の帽子だと日差しには効果があっても涼しくはなさそうで。」
「そっか。じゃあ仕方がないよね。うん、いいと思うよ。」
春香のお墨付きももらったのでヘルメットはこれで決まりだ。色は何種類かあったが、赤とか黄色はモンスターに標的にされそうなので無難に黒にしておいた。
最後にベルリアの剣だが、こればっかりはおっさんの店にしか置いてなさそうだ。
「こんにちは。武器が欲しいんですけど。刀か剣がいいんですけどいいのなんかありますか?」
「おう、坊主か。また彼女と一緒か、仲がいいな。剣って魔核銃はどうしたんだよ、まさか壊したのか?」
「いや違いますよ。前買ったタングステンロッドの代わりに、斬れる剣が欲しいと思って。日本刀とかどうですかね。他の剣に比べると軽くて強そうじゃないですか。」
「まあ、結構人気はあるがな、あんまり勧めらねーな。」
「えっ、どうしてですか?」
「基本、日本刀は斬る事に主眼をおいてるんだがな、すぐ切れなくなるんだよ。鉄自体は、鍛えてあるから同じサイズの他の剣よりはかなり頑丈だけどな、細くデリケートに作ってあるから、数を相手にするのには向いてない。すぐに刃こぼれするし、脂と血ですぐ斬れなくなるんだよ。研ぐのも技術がいるしな。」
「そうなんですか、時代劇とかで100人斬りとかしてるイメージあったんですけど。」
「あれはイメージだ。本物はそんな便利なもんじゃねーよ。オススメは切れ味よりもある程度重さで叩き斬れるようなのがいいぞ。斬れなくなってもある程度武器として使えるし、研ぎが甘くてもそこまで影響しねーから、探索者にはオススメだ。」
「そうなんですね。ありがとうございます。なんかおすすめありますか。」
「予算はどのくらいだ。」
「いえ、物によって考えようかと。」
「そうかよ。学習してるな。ちょっとまってろ。」
おっさんは奥の倉庫に引っ込んで行ったがしばらくまっていると4本の剣を持ってきた。
2つは同じような剣で残りの2つは大きさが違う。
「まず、こっちの2本がバスタードソードだ。まあ汎用性が高い。こっちが25万でこっちが100万だ。こっちがブロードソードとグレートソードだ。ブロードソードが80万でグレートソードが150万だ。」
「やっぱり結構しますね。」
「当たり前だろ。今時こんなファンタジーな本物の剣を使うのは探索者ぐらいしかいねーだろ。ほとんど売れねーんだから高くつくに決まってるだろ。」
「まあそうですよね。こっちの25万と100万円の剣は見た感じあんまり変わらないんですけど何が違うんですか?」
「ああ、坊主の予算がわからないからな、一応安いのも持ってきたが25万のはあんまりよくねーぞ。作りが甘い。いわゆるB品みたいなやつだ。100万の方はしっかりしてるからな、予算があるんなら高い方にしとけ。命を預ける武器をケチってもいいことねーぞ。」
「そうですか。それじゃあ3種類あるんですけどどれがいいんですかね。」
「まあ俺のオススメはグレートソードだな。長い分重量もあるが威力も増すからな、モンスターには有効だろうな。ブロードソードとバスタードソードは好みにもよるけどな俺はバスタードソードの方が使い勝手がいい気がするぜ。」
う〜ん。値段はある程度想定内だ。25万円の剣は正直かなり魅力的だが、当面使っていくことを考えると却下だな。グレートソードは俺が使うならありな気もするがベルリアが使うと長すぎて、剣がうまく振れない気がするので却下。残るはブロードソードとバスタードソードだが正直、形以外に違いがわからない。しかし、大きく違うのが名前だ。ブロードとバスタード。完全にバスタードの名前が勝っている。好みはあるだろうが、俺の中でバスタードが圧勝してしまった。100万円のバスタードソードで決まりだな。
「ちょっといいかな。」
春香が小声で服を引っ張ってくる。
「すごく高いんだけど、お金大丈夫なの?安いのでいいんじゃない?それでもすごく高いけど。」
「ああ、ちょっと探索で臨時収入があったから大丈夫だよ。心配してくれてありがとう。」
まあ、普通の高校生の感覚からすると異常な価格だよな。やっぱり助言してくれる人がいるのは素晴らしい。ただ武器だけは安いので済ませるわけにはいかない。
あとがき
同時連載中の サバイバー最弱の俺はハズレスキル『フェイカー』で天使な彼女とSランクを目指す もよろしくお願いします。
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