第131話 危機

俺は今9階層に潜っている。

昨日、メンバーとうまく連携が取れていたので今日も順調に探索が進める事が出来るといいなと思い普段より張り切っている。

昨日とは違う点は、シルを召喚していることだ。

スナッチには悪いが、リスクを少しでも減らす為、9階層での探知はシルに任せることにした。

シルを召喚したことにより、探索効率とメンバーのモチベーションは飛躍的に上がり、順調ではあるものの、俺以外のメンバーはこのペースに慣れていないので逆にオーバーペースにならないか心配になってくる。

今のところ、連携も取れているし、誰も負傷していないし順調にいっている。


「うっ」


痛い。また矢が俺の右足に命中した。他のメンバーに被害がないので良いことなのだが、何故か俺にばかり命中する。念のために盾も持っているのだが、カバーしきれない足に命中してしまった。

もちろん骨が折れているので慌てて、低級ポーションを飲み干す。

何度くらっても慣れる痛みではないが、探知できない所から飛んで来るため、これ以上の対策の取りようがない。とにかく俺が前を歩いて、致命傷だけ受けないようにしていくしかない。


「大丈夫?ポーションだったら私も持ってるからいつでも言ってね。」


流石にメンバーも心配してくれるが、対策がない以上このまま頑張るしかない。


盾を構えたまま突っ込んでいく。

何度か盾に矢が当たったが無視して突っ込む。

最近見慣れてきたシルバーオークが見えたので盾からバルザードに持ち替えて魔核銃とバルザードの斬撃を繰り出す。

即座に2体を消失させたが3体目は撃ち漏らしたので弓では狙えないように近づきつつ側面に回り込んでから

バルザードの斬撃を飛ばす。


「ボフゥン」


シルバーオークの消失を確認してから、メンバーの元に戻るが、MP1を消費するものの、斬撃を飛ばせるようになってから飛躍的にバルザードの使い勝手が良くなっている。


「海斗一人に任せてすまないな。」


「いえ、相性がありますからね。一番俺が適任なんで。」


そのあと何度かモンスターと交戦したが全く危なげなく撃退できている。


「ご主人様。不味いです。敵ですが今までとは違います。今すぐルシェを召喚してください。」


何事かわからないが今までこんな事は一度も無かったので、すぐにルシェを召喚する。


「今日はどうしたんだよ。なんか、顔が変だぞ。」


顔が変なのは大きなお世話だが、ルシェなりに異変を感じているのかもしれない。


「ルシェ、奥に高位の敵がいます。明らかに今までの敵とは違います。絶対に気を抜いてはいけませんよ。」


「シルがそう言うなら間違いないな。まあ、わたし達がいれば大丈夫だろ。問題ないな。」


「みんな、聞いた通りだ。恐竜の時でもシルがこんな風に言うことはなかったんだ。とにかくやばくなったら逃げてくれ。遠距離攻撃中心でとにかく攻撃をくらわない事だけに集中してくれ。カオリンは敵が現れたらサポートに徹してくれ。シルとルシェも戦闘に加わるから。」


とにかく敵を見ない事には対処のしようがないので、盾を構えた俺を先頭に全員で敵の方向に向かって進んで行く。

近づくにつれ、気配探知など持っていない俺でもわかるほどの強烈なプレッシャーを感じたが、それを無視して進む。

遂に敵を目視出来る距離まで来た。

そこにいたのは超巨大な双頭の犬だった。


「なんであいつがこんなところにいるんだ。」


「ルシェ、知っているのか?」


「あいつは地獄の狂犬オルトロスだよ。あいつはちょっと厄介だぞ。口から毒を吐く。おまけにファイアブレスも出せる。尻尾にも高い毒性がある。絶対に近づくなよ。」


オルトロスか。俺でも知っているビッグネームじゃないか。しかも毒か。低級ポーションで治せるだろうか。とにかく、シルとルシェを軸に遠距離攻撃を展開していくしかない。

躯体を見る限り、あいつの方が確実に速そうだ。逃げるのは無理そうなので必ず仕留めなければならない。


あとがき

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