第56話 六階層

俺は今6階層に潜っている。

この6階層は今までの階層と大きく違うところがある。


入り口の脇になんとコンビニがあるのだ。ダンジョンによって違うらしいが、このダンジョンの6階層には

ゲートと呼ばれる入り口があり、地上のゲートとつながっている。仕組みは全くわからないが、一度ダンジョン側からゲートを使用して地上に戻ると、その後は6階層まで一気にこれるようになる。

もっと深層階にもゲートのある階層があるらしいが、今の所、俺にはまだ使用することはできない。

おそらく一種のワープホールのようなものだと思われる。


いずれにしてもここまで来ることができると、明日から5階層までをすっ飛ばして直接6階層まで来ることができる。しかもコンビニ付きだ。値段は・・・高い。ミネラルウォーター500mlで350円もしている。

しかし、装備以外のものを気にせず探索できるメリットは計り知れない。

世の中金次第という事だろうか。

今日からまたバリバリ稼がないといけない。


「それじゃ、頑張って探索するか。シル、ルシェ今日も頼んだぞ。気を抜かずに行くからな。」


「はい。まかせてください。」 「ああ。私がいれば問題ない。」


探索を初めて程なく6階層のモンスターに遭遇した。


オーガ2体のグループだ。

オーガは5階層で出会った奴のように光ってはおらず、サイズも1回りは小さい。

俺が6階層進出を早々に決めた理由の一つがこれだ。

5階層で既にオーガの特殊個体を撃破していたので6階層で出現する通常個体のオーガであれば問題無いと判断したためだ。


「シル、念のため『鉄壁の乙女』を頼む。ルシェは右側のオーガを頼む。」


指示をした後、『鉄壁の乙女』の効果範囲内から左側のオーガを狙って、バレットを射出。


「プシュ」


『鉄壁の乙女』の効果範囲内から安全に狙えた為、1撃で頭部に命中して、消失させることが出来た。

右を向くとルシェが『破滅の獄炎』でオーガを消失させていた。

やはり特殊個体以外はスキルレジストされることはないらしい。とりあえずひと安心だ。

考えていたよりもあっさりとオーガを倒すことに成功したので、次は節約の為に『鉄壁の乙女』無しでやってみることにする。


うろうろ探索していると今度はオーガとオーク2匹のグループに遭遇した。オークは初出現だが、顔がブタっぽいのですぐにわかった。

よくファンタジーものでオークの肉は美味いと謳っているシーンを見るが、間違ってもこのブタっぽいモンスターの肉を食べたいとは思えない。臭そうだし気持ち悪い・・・


「俺が右側のオークを倒す。左側をルシェ、オーガをシルが頼む。一気に倒すぞ。」


初のオークだったが豚っぽい体型だけあって腕力はありそうだが、ちょっと動きが遅い。

こちらに気付いて向かってきている間にバレットを射出


「プシュ」


初撃がオークの肩口に命中


「グブヒィー。ブホッ、ブギャー」


痛がっているがそのまま突っ込んでくる。


「プシュ」


すぐさま2発目を射出する。

2発目が頭に命中すると同時にオークは消失した。

シルとルシェもそれぞれ問題なく倒せたようだ。

5階層に引き続き、今までになくスムーズに進んでいる。

急に自分が特別強くなったような錯覚を覚えるが、勘違いしてはいけない。

すごいのはこの魔核銃だ。

さすが200万円しただけのことはある。やはり世の中、金次第なのか。

燃費が悪いのがネックだが、ストレスフリーで狩りができる。本当に素晴らしい。

今まで使用していたボウガンも買った時は凄いと思ったが、矢から銃、人間の進歩は素晴らしい。

間違っても、俺がすごいなどと自分の力を過信してはいけない。

モブの俺が調子に乗ると、いつもろくなことがない。

でも銃で一撃のもとモンスターを狩る俺。ちょっとかっこいい。

探索して小腹が空いたのでコンビニでおにぎりでも買おうかな。

お金さえ気にしなければ、この6階層は最高かもしれない。

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