第26話 初めての魔法
ドロップした青色のマジックオーブ。
おそらく売れば、数千万ではきかないだろう。
売れば大金持ちだ。
だが
しかし
俺はもう決めている。
自分で使うことを。
今日、俺は夢とロマンの魔法使いになる。
テレビによるとマジックオーブは魔法を使いたい者が、手にとって地面に投げて割ればいい。
それだけで魔法スキルが身につくのだ。
本当の夢とロマンはお金では買えない。
俺は震える手で青のマジックオーブを地面に叩きつけた。
『ガシャーン』
「ん?」
特に何も変化は感じられない。
あわててステータスを確認
高木 海斗
LV 11
HP 23
MP 14
BP 28
スキル
スライムスレイヤー
ゴブリンスレイヤー(仮)
神の祝福
ウォーターボール NEW
あった。 ちゃんとあった。
水系マジック ウォーターボール
「うぉー、やったぜ!」
思わず叫んでしまった。
嬉しい。嬉しすぎる。
感動だ。この感動をお茶の間の皆様にも伝えたい。
とりあえず感動は置いといて、使ってみたい。
今すぐ使ってみたい。
俺は、おもちゃを買ってもらって、待ちきれない小さな子供のようになっていた。
「シル、ルシェリア ウォーターボールの魔法を覚えた。どこかで威力を試してみたい。サポートしてくれ。」
「かしこまりました。」「わかった」
俺は初めてなので、念のため2階層で単体のゴブリンに使用してみることにした。
ゴブリンを目の前にして
「シル 念のため『鉄壁の乙女』を頼む」
「かしこまりました。」
「ルシェル、仕留め損なった時のために『破滅の獄炎』を準備頼む。」
「ああ、わかった」
シルが鉄壁の乙女を発動し、向かってきたゴブリンに対し、俺はついにスキルを発動した。
『ウォーターボール』
発動の瞬間、体からごっそり血液が抜けるような感覚があり、目の前に水の球が発現。
「おおっ」
意識するとそのままゴブリンのところまで飛んでいって
「ベシャッ」
「「「えっ」」」
思わず3人で、ハモってしまった。
呆気にとられてしまったが
『破滅の獄炎』
ルシェリアが追撃をかけ、事なきをえた。
「まじか・・・・」
確かに俺の初めての魔法である 『ウォーターボール』はしっかり発動した。
ゴブリンに向かっていくスピードも特に問題はなく、しっかりと命中もした。
ただ、小さい。 マジックオーブとほぼ同じ、野球ボール大の水の球体が飛んで行った。
飛んでいって
「ベシャッ」
となったのだ。
イメージ的に水風船が高速で飛んでいって、破裂したような感じだ。
ゴブリンもほとんどダメージはなかっただろう。
魔法を発動したのは間違いがない。
つまり
憧れの魔法使いにはなれた。
だが
しかし
憧れていた魔法使いとは全く違う。
シルやルシェリアと同じとは思っていなかったが、VRゲームの初級魔法ぐらいの威力は期待していた。
まあ、よく考えればわかる事だが、属性が水という時点で外れだったのだ。
火や雷なら小さくてもダメージを与えることは可能だろう
しかし水は違う。まだ氷であれば当たればタダでは済まない程度のダメージは与えられるだろう。
しかし水では当たっても、モンスターを狩れるほどのダメージは望めない。
濡れるだけだ
大量の水であれば溺れさせることはできるかもしれない。
超高速で飛ばせればウォータカッターのように切断できるかもしれない。
だが野球ボール大の水のボールでは無理だ。
失望感からくるダメージとは別に、体が重い。
気になってステータスを確認した。
高木 海斗
LV 11
HP 23
MP 10
BP 28
MPが4も減っている。
この水玉1個でMP4
つまり今の俺ではこの水玉3個が限界ということだ。
俺がショックを受けているのをみかねたのか
シルが
「魔法を発動出来るだけですごいです。慣れてくるときっと威力も上がってきますよ。」
ルシェリアが
「まあ、あれだ。喉が乾いた時にいつでも水が飲めるようになったと思えば良かっただろ。」
その気遣いが痛い。
あのルシェリアまでが変な気遣いをしてきた。
夢とロマンの魔法使いになったその日は、俺にほろ苦いダメージを残した。
あとがき
フォローと☆☆☆を★★★にして頂いた読者の方本当にありがとうございます。
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