第19話 2枚目のサーバントカード

俺は前日の探索リザルト −12953円に茫然自失状態となっていた。

ダンジョンに潜って、バトルにも全て勝ったにも関わらず、赤字。


正に前代未聞の事態である。


今の俺の実力では『シュールストラーダ』無しでは正直厳しい。

しかも今回3匹までは対応できたが、それ以上になると正直厳しい。

俺の実力不足もあるが手数が圧倒的に不足している。

頭数が単純に足りない。

3階層より奥に潜っている探索者は、殆どが3〜5名程度でパーティを組んでいる。

俺の場合、シルの異常に高いBPがあるにしても2人である。

正直厳しい。

かといって、パーティを組んでくれる相手に当てもないし、ほぼ、毎日潜っている俺と一緒に潜れる時間のある同レベルの探索者は、皆無だろう。

仮にいたとしても シルの特殊性を考えると、パーティを組むことに抵抗感がある。

という事で、正直手詰まりとなってしまった。


「う〜ん 」


俺は、悩みに悩んで一つの作戦を実行に移すことにした。


その名も『2匹目のドジョウ 作戦』だ。


ここが異世界なら、美少女キャラの奴隷を購入してパーティメンバーに加えるところだが、実際にはそんなことはできない。

なので、バカな作戦だとは思うが、2匹目のドジョウ 『金色』のスライムを倒して、2枚目のサーバントカードを手に入れるしかない。

そうと決まれば早速 1階層へ潜ることにした。

スキル スライムスレイヤーを手に入れてから、ほとんどスライムを狩ることはなかったので、久しぶりである。

実際にスライムを狩り始めると、何故か殺虫剤にも補正がかかるのか驚異的なペースでスライムを狩ることができた。

なんと1時間で10匹ものスライムを狩ることができた。

やはりスキル スライムスレイヤーはスライム狩りには欠かせないスキルのようだ。

それから毎日1日3時間スライムを刈り続けた。

それから2ヶ月以上経ったが、金色のスライムは未だ現れていない。

既に1500 匹以上狩っている。

それでも現れない。

レアなのはわかっている。

幻なのかもしれない。

ただ前回も2000匹目ぐらいで出現した。

今回も後500匹ぐらいで出現してくれないだろうか。

いや、ぜひ出現してほしい。


俺はそれからも半月間せっせと、スライムを刈り続け2000匹目に突入しかけたその日、

ついに ついに 現れた。


『銀色』のスライムが。


『銀色???』


とは思ったが、今まで見たことの無いスライムだ。

おまけに銀色。 金色と無関係なはずがない。


「シル絶対に逃がすな。」


「はい。かしこまりました。」


『神の雷撃』


無慈悲なシルの一撃で『銀色』のスライムは跡形もなく 消失してしまった。


俺は『銀色』のいた場所をすぐに凝視した。


あった。ありました。

シルの時と同じく地面にはカードが残されていた。


「うぉー!! やったぜ」


思わず、久しぶりに雄叫びをあげてしまった。

金色でも銀色でも良かったようだ。

とにかくレアカラーであればなんでも良いのかもしれない。

俺はやりきった。

2匹目のドジョウ作戦を完遂したのだ。

2枚目のサーバントカードを手に入れたのだ。

おまけにスライムを2000匹も狩りまくっていたのでこの2ヶ月半でなんと

100万円近く稼いでしまった。

1日3時間で1ヶ月あたり40万円以上だ。

時給に換算するとなんと5000円。

すごい。すごすぎる。

探索者のプロ並みに稼げている。

やっぱり、スライム狩りが一番儲かるのかもしれない。

競合相手もいないし独占状態。

狩り放題。

1階層は夢のスライムパラダイスだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る