【アニメ配信中】モブから始まる探索英雄譚

第17話 三階層へ

ついに俺は3階層に潜っている。

もちろんシルも召喚して万全の状態だが、まだ見ぬ敵に緊張感MAXで、恐る恐る進んでいる。

シルの能力でモンスターはすぐ見つかった。

ヘルハウンドが2匹いる。

早速、3階層の洗礼なのか複数体のモンスターとの戦闘になりそうだ。

ヘルハウンドは、恐らく戦闘力自体はゴブリンとそう変わらないと思われる、下級に分類されるモンスターだ。

ただ、人型のゴブリンと違い、知能はそれほどでもないが、四つ足の獣型なので当然スピードはゴブリンや人間をはるかに凌駕している。

と ギルドのモンスターガイドに載っていた記憶がある。

まずはいつもの通りボウガンで先制する。

しかし、初めての獣型の上 ゴブリンと違って狙うポジションがかなり低い。

完全に外してしまった。

慌てて

「シル 『鉄壁の乙女』だ。」

「かしこまりました。」

すぐにシルに『鉄壁の乙女』を使用させヘルハウンドを迎撃する体制を整えた。

すぐにヘルハウンドが光の壁に阻まれ

「ウ、ゥゥー」

と唸り声を上げている。

十分に引きつけてからタングステンロッドでぶっ叩いた。

1匹目はすぐに仕留める事が出来た。

「次だ」

2匹目を仕留めようとすぐ目を向けるが、既にそこには姿は無く、後ろに回り込まれていた。

「速っ!」

移動したのが見えなかった。

後ろに周り込んだヘルハウンドをタングステンロッドで攻撃しようとしたが、光の壁から距離を取られているため、円の中からでは届かない。

明らかに、1匹目への攻撃を学習している。

『乙女の鉄壁』の有効時間はまだ半分以上残っているはず。

大丈夫だ。

俺は焦る気持ちを抑え込み、もしもの時の為に用意していたものをリュックから取り出した。

世界最臭兵器 『シュールストラーダ』発酵ニシンの缶詰 を。

息を止め、一気にプルトップを引き上げヘルハウンドに向かって投げつけた。

避けられ当たることはなかったが、人の数十、数百倍あるであろう嗅覚の持ち主である、獣型モンスターには劇的に効いた。

「キュー、ワン ワ〝ン」

普通の犬のような声を出して暴れはじめたのだ。

俺は意識のそれたヘルハウンドに向けてボウガンを連射した。

見事2本がヒットし、仕留めることができた。

残された魔核は少し色は違うが、ゴブリンのものとほぼ同程度の大きさだった。

「ご主人様。やりましたね。3階層ではじめてのモンスターでも、問題なく倒せましたね。さすがです。」

無事に3階層での初戦闘をクリアできたが、内心俺は焦っていた。

2階層までは単体の敵だったので初見殺しで勝つことができていた。

それが2匹に増えた途端に、2匹目にはあっさり、いつもの攻撃手段が通じなかった。

結果として『シュールストラーダ』が劇的に効果を発揮した。

しかしこれは奥の手のつもりだった。

効果も不確定だった。

それを初戦から使用する羽目になってしまった。

おそらく今後も同レベルのモンスターであれば1匹目は問題なく倒せる。

2匹目も同じ戦法が通用するのであればなんとかなる。

しかし

3匹以上が同時に出現した場合の対抗手段が今の俺にはない。

どうしよう・・・

散々、脳内シミュレーションした作戦を練り直す必要がある。

色々考えてみたが、今はこれしかない。

思いついたのは シルによる 『神の雷撃』 連発作戦だ。

シル頼みの力押し。

1匹目もしくは2匹目まで俺が倒し、3匹目以降の敵には、シルの『神の雷撃』をお見舞いして、仕留める。

今の俺に立てられる、唯一の作戦だった。

その日 ヘルハウンドやデビルボアの群れに遭遇したが、作戦通りに上手くいき、全てのモンスター倒すことができた。

結局この日出現したモンスターは、一番多くて3匹だった。

今日のリザルトは

魔核 20個 − シル摂取分13個 ＝ 7個×721円−『シュールストラーダ』6000円×3

金額 マイナス12953円 となった。