歌詞 / Lyrics

虻瀬犬

猿蛇

あぁ、それだ、その功夫映画を観た。子供騙しなんかに耽入った。

酒はノまぬ癖、将進酒を呑み、酔ったは気のみの酔猴拳。

真黒釈迦には報復を、と、蓮茶を奪ったら半殺された。

コソドロヘドロに塗られ織られ、そんな襤褸切れだけは御免だった。


「ジーちゃん」とか「トーちゃん」とか「カーさん」とか「ニーさん」とか

そんなよーなモンばっかに憧れた。

恋だとか愛だったか女とか男とか、誰も何も序破急も教えてくりゃせん。


愛とは一体なんなんだ、子供だって馬鹿にすんな。

でも、なんだかこー安心すんのは、『子供であれ!』という事なんか?


旅は道連れ世の情け。渡る世間は鬼ばかり。


若気の至りとおれを産んだ、童を藁にし縋って笑う。

怨めど血気の盛りは絶えず、自分もおんなじ轍と知った。

さるだ。最悪だ。


知らんのよ、知らんのよ、なんだってんだよ、糞ッ垂れ、

悟るまで意地でも死にたかない。

恋したいさ、愛したい。だが故国を厭うような俺を、おれは許したかないなあ。


俺は一体なんなんだ。ぐーちゃぐちゃ、嗚、喚いていらあ。

あー寂しいな、なんでぇかな、寂しンだ、


愛、とは一体なんなんだ、おれが戴くモンなんか?

ぴんぴんころりと死んだ時は、君は泣いてくれりゃーしないか?


おれたちゃ生きてる、俺たちゃ生きてる!将進酒を呑めこの若造が。

恋だとか愛だとか、糞ッ垂れたモンなーだ、食って溶いて混ってさるが産まれンだ。


旅は道連れ世は情け。渡る世間に鬼はない。


「猿でも良い」と言ったが最後だ、子を成し、育み、蛇を屠る。

何番煎じかわからぬ異国の茶を食らう。

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