第二章

校門前

うーん…。最近はマジで中々に濃い日常を過ごしている気がする。しかもなんか夏美さん絡みが多いんだよな…。


「ところてんはおいしいよねぇ!」



授業中に先生定番の話が脱線するやつ。なにがどうなったら物理の授業からところてんの話になるんだよ…。


あと、ところてんを掻い摘んで話す人あんまり居ないだろ…。珍しいタイプだ…。



岡崎と剣崎は相変わらず寝てるし…。他の人もあんまちゃんと授業聞いてないよな…。海斗は例外だが…。


**

お昼休みはまたあの二人と一緒に食べなければならない。もう最近は俺いなくてもいいんじゃねと思っている。だって普通に二人でも喋れてるし。


「へぇ〜、そうなんだ!」


「うん!」


「翔もそうだよね!」


「ああ、まぁ」


ヤバい、なんも聞いていなかったがとりあえず何の話か分からないので無難に返事することにした。


急に話を振ってくるのはやめてほしい…。



それにしても夏美さんの弁当はいつも美味しいよな。レパートリーも何個あるんだってカンジだ。


それに最近なんかやけに具材をハート型にしてるような気がする…。弁当箱の形までハートだし。流石に弁当箱をハートにされるのは恥ずかしいな…。



**

月曜日の授業が一番しんどいわ…。なんか土日はさんだ後だと授業の時間が長く感じる。


「おーい!帰ろうぜ!翔」


俺が帰りの準備をしていると岡崎が話しかけてきた。後ろには剣崎もいる。


「あれ?二人とも部活は?」


「俺らは今日部活ないんだよ。だから帰ろうぜ!」


「そうですよ、翔くん。今日は半分以上の部活が休みですな」


というわけで俺は二人と一緒に教室を出た。

海斗はこんな日でも部活があるようで先に行ってしまった。


**

下駄箱から靴を取って外に出ると、校門前に人が集まっているのが見えた。確かに今日はだいたいの部活が休みというのはさっき聞いたが、あの人の集まり方はおかしいだろ…。


「なんであんなに人が集まってんだ?」


「確かにですな」


人混みに近づいて行くと、周りの人の声が聞こえてきた。


「誰かまってんのかな?」


「美人だ〜。モデルさんかな?」


「モデルでもあんな美人いないよ!」


周りの人達の視線の先にはあの人が。まぁなんとなくそうだろうなぁと思ったが…。


「おお、すごい美人だなぁ」


「そうですな」


二人があっち見てる間にさっさとずらかるぞ。

じゃないと人目に晒される。


そう思った時、ふと目が合ってしまった。

ヤバい…!

だがもう目が合ったら終わりだった。


「あ!翔君!」


とうとう学校まで来たんですか?

夏美さん…。

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