第3話 悪魔との取引

こいつを預かったのは探偵事務所を設立して直ぐぐらいだった。


 まだ幼く身寄りもなく、俺の弟が最初に預かっていたが国中が知ってる大災害で亡くなり、その後あちこちを転々とした後に俺の所にまわって来た。


 探偵事務所を設立したばかりとあって仕事が見つからず、子供一人を養うなんて無理だったが前金を貰ってしまってどうする事も出来ない状態になってしまった、我ながら情けない話だ。


 事務所に来て数日、無口で服装はボロ切れ、うす汚く、風呂にも入っていない様子で飯は三食出したが警戒しているのか、あまり手を出さなかった。右手に手錠で繋がれた金属製の鞄を常に着けていたが、それについてはけして触れるな と以前預かっていた者が忠告していたのでけして触れなかった、その件で前任者はだいぶ怯えていた。


 それよりも気になるのがやつの目線だった。


 部屋の隅やソファーでうずくまっていたが一言も喋らず目線は常に天井の一点を見つめてたり俺を凝視していた。けして怯えや怒りではなく、奴に睨まれると身の毛がよだつ、得体の知れない者に監視されている気分にさせられる、若干の君の悪さを感じた。


 三日が経ち、このままでいるわけにもいかないので学校に行かせることにした、人並みの生活をさせれば落ち着くだろうと考えた。


 風呂に入れさせ、髪を整え、服は手錠を外さなくてもいいように着れる服を昔のコネで特注した。学校はなんだかんだ金がかかったがそれなりの学校に入学できた。


 学校に行かせて二週間が経った、事件が起きた。

 生徒何人かが大怪我を負ったと連絡があった。怪我を負った生徒の中に甥がいたが、本人はかすり傷程度だった。


 周りにいた生徒に怪我を負った説明を聞いたが、誰一人とも話すことはなく、中には何かに怯えて錯乱する生徒が出た。唯一、まともだったのは奴だけだった。


 その晩、何があったか一様聞くために夕食の席に聞いてみた。「僕は手を出していないよ、けして僕は彼らに何もしていない」

 それしか話さなかった、怪我を負った生徒は数週間後、他の学校に転校したそうだ。


 それからはこれといって事件や事故はなく学校生活を送り、お互いあまり干渉せずに暮らし、たった五年で最上級生まで飛び級を果たし卒業した。


 卒業したその夜、奴が将来について話したのを今でも覚えている。

「僕はね商人になってこの世界を変えてみせるよ。誰もなし得なかった事を実現させるだ。どんな相手だろうがこの夢は誰にも邪魔させない。叔父さんにもいつか見せてあげるから」


そう言い残し、翌日には姿を消していた。


そして今、奴は目の前にいる         悪魔となって…

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