第19話、港町の依頼を受けてみた

翌日、シンジ・オオガミの姿で町へ行き、カレンさんに依頼があるか確認します。


「シンジ君に回すような依頼はないわね。

どうする、Aランクの依頼受ける?」


「いえ、今日は用があって港町まで行こうと思って」


「だったら、向こうのギルマスに紹介状書きましょうか」


「あっ、お願いします」


それなら、この姿で堂々と出かけられる。




「ほう、ミンクのギルマスが推薦状を書いてよろすとは、よほど手放したくない人材ってことか」


「そうなんですか?」


「ランクがAってのは、ギルドカードを見せりゃあ済むだろ。

わざわざ、紹介状を持たせるってことは、手を出すなとこっちに言ってるようなもんだろ」


「はあ」


「それで、用事ってのは」


「ライラって女の子、エルフらしいんですけど、探すよう頼まれまして」


「おーい、誰かライラを見たやついるか」


「そういやあ、昨日から来てないぜ」


「そうですか、ありがとうございます」


「残念だったな」


「いえ、僕も頼まれただけですから」


「Aランクの依頼を受けてくれる気はあるかい?」


「仕事があるんでしたらやりますよ」


「助かるよ。

この町では、Aランク冒険者が少なくて、依頼がたまる一方なんだ」


受けた依頼は、サンゴ礁に出没するテントパスというタコのモンスター討伐でした。

俺は空中から苦も無くテントパスを見つけ出し、魔法弾を打ち込んで仕留めます。


テントパスを収納にしまってギルドへ戻ります。


「テントパスの討伐が終わりましたけど、どこに出したらいいですか?」


「えっ、だってさっき出て行ったばかり…」


奥の倉庫でテントパスを収納から出して、かくにんしてもらいます。


「こ、こんなに早いなんて…」


「ほかにAランクの依頼があるんなら片づけますよ」



俺は、その日もう二件の依頼をやっつけた。

レッドシャ-ク討伐と大量発生したリザードマンの掃討だ。


「すごいな。ミンクのギルマスが囲い込みたいのもうなづける。

これからも、時々顔を出してくれると助かるんだが」


「こっちに来た時には顔を出しますよ。

ライラさんが見つかるまでは滞在するつもりですから、明日も顔をだしますよ」


「そうか、助かる。

ライラが顔を出したら、必ず拘束しておくからな」


「お願いします。でも手荒なことはしないでくださいね」

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